エクス・ポナイト VOL.2 (Shibuya O-nest)


LIVE:d.v.d、フルカワヒデオプラス(古川日出男+植野隆司(テニスコーツ)+イトケン(d.v.d)+戸塚泰雄)
    ヘア・スタイリスティックス a.k.a 中原昌也


TALK岡田利規×本谷有希子佐々木敦『リアルなものの行方』
    鈴木謙介×栗原裕一郎×仲俣暁生+藤原ちから『ゼロ年代のJ論壇をめぐって』
    古川日出男×円城塔佐々木敦『「小説」をヴァージョンアップする』


DJ:鈴木謙介仲俣暁生佐々木敦、スズキロク、ヤノピヤノ、and more???

ぬおぉ〜。すんごい面子のイベント!演劇や小説の世界で大活躍中のアーティストが続々登場するこんなイベントを私は待っていた!仕事場をさっさと抜け出してnestへ直行〜。二十代の若い人がもういっぱい。掲示してあったタイムテーブルを見ると終演は22時半だって!残念だがすべてをじっくり見るのは体力的にも無理だな、と思って見たいモノいくつかにマトを絞って挑む(入退場自由なので外で休憩できたのだw)ことにした。仲俣氏のDJを聴き逃したのが若干悔やまれる。


フルカワヒデオプラス(古川日出男+植野隆司(テニスコーツ)+イトケン(d.v.d)+戸塚泰雄)

バックバンドを従えての、古川の朗読。正直古川の読み方は暑苦しくて好きじゃないんだけど、こういう場だといいモノかも、と思えた。地味に表現力のあるドラマーも気に入った。皆さん真剣に聞き入っていたようで、大きな大きな拍手喝采。支持されているアーティストとはカッコよく見えちゃうものだね。


岡田利規チェルフィッチュ主宰・作家)×本谷有希子劇団、本谷有希子主宰・作家)+佐々木敦『リアルなものの行方』

いまをトキめく若手演出家兼小説家のゆるゆるトーク
佐々木も本谷も何度か見たことはあったけれど、岡田利規の姿をナマで見るのは今日が初めてだ。いやー、、、もっと気難しくてイヤミ臭い男だと想像してたんだけど、けっこうきさくな感じで優しそうな話し方が好印象の青年だった。たいした事前打ち合わせもしていなかったようで多少支離滅裂な感はあったが、そのぶん岡田も本谷もリラックスして口を割ってくれたようであった。両者の初対面のときのコトや、本谷の最新小説『グ、ア、ム』のタイトルについて岡田の思うこと、海外上演を経て観せ方が変貌していった『フリータイム』(チェルフィッチュ)のこと、そして両者の創作の意図だとか、演劇&小説という二足の草鞋でやることについての意義等、文芸誌等の教科書的な対談では聞けないような本音が垣間見えたのは嬉しい。わかりづらいコトを演る岡田は意外にふつうな人だったのには親近感が沸いたし、本谷有希子が「本谷有希子(笑)」であり続けようとする意味も面白かった。この二人を組み合わるとは、スゴイな。


古川日出男×円城塔佐々木敦『「小説」をヴァージョンアップする』

トークの途中からしか聞けなかったんだけど、それでもかなり鋭い話が聞けた。古川日出男の小説は読んだことがないが、彼の表現への意気込みの凄まじさには圧倒されるものがあった。作家という人種は本当にいろんなコトを考えながら社会を見ているものだなぁ。小説を書くというきわめて地味な作業の重みを痛感。
文芸誌、編集者、作家の三者の微妙で複雑な因果関係のくだりにはハッとさせられるものアリ。


ヘア・スタイリスティックス a.k.a 中原昌也

最後は中原昌也。しばらく見ないうちに髪がかなり伸びてたw。今日ももちろんあのブルーのジャージ。ブルージーなプレイをするなかなか上手いギタリストを従えて約25分間のライブだ。ギタリストがいるおかげでだいぶ取っ付きやすい演奏であった。3コードにあの絶望的でどうしようもないノイズがの乗っかかる。ただのうるさい雑音といってしまえばそれだけのコトだけど、中原の怒涛の咆哮やスピーカーを破壊してしまいそうな爆音から感じられるやり場のない怒りには、なぜかいつも共感させられる。遅い時間であってもまだまだ客が残っていたせいか、微妙に嬉しそうな表情をしていたなw。ノイズで耳も体もおかしくなってしまいそうになってきたころ、あっさり終演。音からは絶望や徒労感しか感じられないのだけれども、聴いていてとても気持ちが良いのはなぜだろう?




以上、ざーっと駆け足でレポ。会場の面積のわりにプログラムも人もが多すぎてかなり疲れたが、こういう試みは本当に嬉しい。作家や演出家の姿というのはなかなか見る機会がないわけだし、こんなにもフランクなトークが聞ける機会なんてないわけだし。
ありがとう、佐、々、木、敦。