大槻ケンヂ 『オーケンのめくるめく脱力旅の世界』


オーケンのめくるめく脱力旅の世界

オーケンのめくるめく脱力旅の世界

オーケンの旅シリーズのうちの一冊。ちょうど特撮が活動を始めた頃に小説新潮に連載されていたコラムを纏めたものである。この頃のオーケンは変にキャラを作ったりしてなくて好きだなぁ。


脱力旅、ということで今回はわりと近場でほぼ日帰りでふらっと行ける所を選んでの観光だ。とんでもなく辛いカレーを食いに行ったり、温泉地でストリップを見たり、池田貴族の実家へ線香をあげに行ったり、、、ほかにも障害者プロレスの観戦だとか熱海の秘宝館だとか、カルトっぽくて笑えるマニアックな旅路で、そんな目的地の選び方が大槻ケンヂという男自身を見事に表している。
そこで起こったことや考えたことなんかを、等身大のリラックスした文体でだらりと書き綴っている。そのリラックスした文体というのが良い。彼の持つきさくさや人柄の良さが滲み出ていてほんのり心が温まる。UFOやオカルトについてのウンチクも必要最小限で、この本に限ってはウザくない。旅の同伴者である宮崎マヒト氏やスイカちゃんという女の子もフレンドリーなキャラクターでいい味を出している。

本屋で売ってるのをあんまり見かけないエッセイ集だけれど、偶然にも丸の内の丸善で初版を見つけることができた。インパクトはさほど強くないけどこういう日常味のあるオーケンも良いものだな。