チェルフィッチュ 『フリータイム』(SuperDeluxe)

作・演出:岡田利規

出演:山縣太一、山崎ルキノ、足立智充、安藤真理、伊東沙保、南波圭


話題騒然、小劇場ファンの間で絶賛されまくっているチェルフィッチュ岡田利規!一度観ておかなくてはと思い初観劇。六本木ヒルズそばのSuper Deluxeという小屋だ。日曜日のマチネ、もちろん満席。マニアックそうな客の多いこと多いこと。。。


椅子の背もたれとテーブルが地表からニュっと顔を出したような舞台設備。必要最小限だけれど配置や材料の質感なんかにはこだわりが垣間見える。無印良品で売ってそうなテーブルセットかも。


なんという表現形態だろう!?登場人物は若い男女が6名、ダラダラっとした意味不明に思える緩い動作をしながらセリフ、というよりもナレーションのように状況や心理状態の説明をただただ続けていた。作品の舞台はきわめてオンタイムで、日常的で、いま普通に生きる者がついなんとなく考えてしまうような生活の断片を丁寧に切り取って、わりとそのまま(であるかのように)見せている。それは虚構なのだけれども、一つの出来事を複数の役者によって別々に語らせたり、ある状況に対するある者の感情を他人が想像して説明させたり、表現はシンプルでも多面的だ。日常にスパッとナイフを入れたらその切り口はこんな風になっていますよ、とでも言うように断片の切り取り方とその見せ方に作品の妙があった。
登場人物の発言はいまの若者が普段日常でリアルに使うタイプのもので、頭の中で言葉を探って話すようだったり、微妙な‘てにをは’を言い直す場面があったり、ちょっとわざとらしい感じもしたがいわゆる演劇くさい言葉から遠いものを使いたい旨は伝わった。


女優が「さいとうさんの話をします。」と言って、他人のことのようにさいとうさんの話を延々喋ったと思ったら、、、さいとうさんというのは話した人本人だったって、、、なんじゃそりゃ!?


日常的(であるかのよう)な感じ、人がふだん無意識のうちにしている何かを拡大して観る者に提示する表現、今まで見たことのないタイプの演劇だ。音楽や役者の衣装等、細かい点まで気が使われていてスマートでとてもオシャレだ。


文章で説明するのはとても難しい。こういうのも前衛的というのだろうか。小さいけど長く長く続きそうな衝撃を受けた。さくっとした鳥肌。

理解できなくて眠くなったらどうしようかと思ってたんだけど全くそんなことはなくたっぷり楽しめた。観に行ってよかった。





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演劇の「常識」問う新作 岡田利規「フリータイム」(YOMIURI ONLINE)