LOVE LETTERS 2008 SPRING SPECIAL 星野源♥本谷有希子(パルコ劇場)

企画制作:(株)パルコ
作:A.R.ガーニー
訳・演出:青山陽治
出演:星野源本谷有希子


なにやら1990年から続いている企画らしいこの『LOVE LETTERS』。今日のプログラムは超人気者同士の共演ということでチケットは速攻でソールドアウト、我ながらよく取れたものだと思う。しかも最前列だ。星野源本谷有希子、両名の愛の朗読にじっくり耳を傾けようではないか。


幼い頃から年老いるまで、ずーっと手紙を通して交流を計ってきた男女、互いに成長し、人並みに充実した(もちろん波乱もあったり)人生を送り、別々に結婚してそれぞれ子をもうけ、男は出世をして上院議員にまでなり、女は芸術家として名を成した。その膨大な手紙のやりとりが会話のようにひたすら続けられる。休憩を含んで約2時間のひっそりとした、しかし感情の高まりを誘う素晴らしいストーリーであった。アメリカントラッド風のスーツに身を包んだ星野(SAKEROCK)は小柄だが今風の優しそうな日本男児、黒いラメのワンピースに派手なカラータイツの本谷(劇団、本谷有希子)はスラッとしていて仕草も女の子らしい、両者見映えも良い。


星野も本谷も声質には特徴があって、それを活かしていたがリーディング自体はそんなに上手くない。もっと上手い人が読めば何倍も完成度の高いSHOWになったかもしれない。前半から中盤にかけては手紙のやり取りが切々と語られ、ことごとくすれ違いながら男女が成長していく様が述べられてゆく。
物語がグラっと動き抱出したのは終盤、アルコール中毒で病床に伏した女が、男へ逢いたいという旨を書いてからだ。この時点くらいから感極まったのか、本谷有希子の眼は涙でいっぱいだった。年を取って素直になった女の言葉が痛々しくも切ない。
女の死後、徐々に暗くなっていく照明のなかで愛の言葉を切々と語る星野のセリフはきわめて美しく、儚く、感動的で会場に詰め掛けた満杯の観客の胸に深く突き刺さる印象的なラストシーンだった。手紙という形に残る一対一のコミニュケーションツールの趣の深さと、長年愛を育んできて決して最期まで結ばれる運命にはなかった男女の静謐な物語に、私まで泣きそうに。。。



うーん。陳腐な表現で申し訳ないが本当に感動的だった。熟練した人が読むのとはまた違った、ピュアな感じが良かったな。




LOVE LETTERS : http://www.parco-play.com/loveletters/