大槻ケンヂ「綿いっぱいの愛を!」発売記念サイン会@ジュンク堂書店新宿店


エッセイ集の発売を記念して文豪オーケンのサイン会が新宿三越内の書店で行われた。今までライブやのほほん学校で何度も見ている相手だが、至近距離でサインと握手をしてもらうとなると緊張する。整列開始時間少し前に会場に着いたら幸いにもあんまり人がいない。よってかなり前のほうに並ぶことができた。先日の町田先生のときとはエラい違いだ。


階段で1時間待った後、ついにオーケン先生登場!ロックっぽい黒いライダースにグレーのハンチング帽という格好で現れたのだ。書店のスタッフに対しても腰が低く、ライブハウスで見る特撮のボーカリストとしての大槻ケンヂとは幾分違った印象だ。もしかしたら一緒かもと密かに期待していたボースカ先生は欠席。今頃銀座でドンペリごくごくだったりして。
自分の番がくる直前までどう声を掛けようか思い悩んだが気の効いた言葉が浮かばない。言いたいことは山ほどあるはずなのだが、わずかな時間内でいざご対面となると難しいものである。


そうこうしているうちにすぐに自分の番が回ってきた。ついに、ついに私と大槻ケンヂ先生がガチンコで対面する世紀の真剣勝負の決定的瞬間が訪れたのだ!先日この書店で購入した「綿いっぱいの愛を!」とサイン会整理券をおそるおそる差し出してみた。まぢ緊張しますたよ。私の唇と喉はカラカラに乾いていた。でも相手もかなり緊張しているご様子。目が泳いでいる。お、オーケン先生、あなた小心者ヅラしてるよ。優しそうといえばいいのだろうが、ちょっと苛めたら泣いちゃいそうな顔に見えた。

そして世紀の一瞬、最初に口を開いたのは大槻ケンヂだった。彼は本を手に取り、「ライブも来てくださいね〜」と小声で言いながらサインをしてくれた。サインの横に例の猫マークも書いてくれた。ここで反撃しなければ!と思ったが、私は「ジェット機ニューロティカと一緒のイベントを楽しみにしています。」と前の人が言ってたことと全く同じような当たり障りの無い発言しかできなかった。。。

次の瞬間、彼は右手を差し出してきた。おお!私は無意識のうちに応戦した。人間というのは相手に手を差し出されると自然に自分も手を出すようにプログラムされていることをまざまざと思い知った。気づいたときには私と彼の右手はがっちりと硬く、あたかもあざなえる縄のように絡み合っていた…。

手を解いた後、ここで退散してしまっては絶対にダメだ!と思い、私はさらに攻撃をしかけた。「もちろん特撮のワンマンライブも行きますよ。」これが私の精一杯の反撃であった。しかし相手は「あー、そーですか」と裕仁昭和天皇のようにサラリとかわしてきた。こないだの町田先生と同じである。
来年不惑を迎えるオタク少年のカリスマ、この世の万物を達観しきったような見事な応戦であった。まいった。


たいした面白いことも思いつかず、トンだ奇行にでる度胸など微塵もなく、私と大槻ケンヂ氏の対決はわずか数十秒にして終わった。