wat mayhem『パンク侍、斬られて候』(本多劇場)

原作:町田康

脚本・演出:山内圭哉

出演:山内圭哉小島聖中山祐一朗(阿佐ヶ谷スパイダース)、廣川三憲(ナイロン100℃)、
    加藤啓(拙者ムニエル)、林克治カリカ)、福田転球(転球劇場)、高木稟(転球劇場)、
    橋田雄一郎(転球劇場)、腹筋善之介(Piper)、宇梶剛士、大谷亮介

人気作家・町田康の長編小説をPiperの山内圭哉が小劇場界の大物役者たちを集めてコミカルに舞台化した。アサスパ、ナイロン、拙者ムニエルなど下北沢で上演することの多い劇団の所属俳優だけでなく、昨年はイキウメやペンギンプルペイルパイルズの作品に出演した小島聖や、名も体も大物な人気俳優・宇梶剛士も出演者に名を連ねる。


舞台では表現しづらそうなこの小説を山内はいかが料理するものなのか?と、かなりの猜疑心を持って私は会場に足を運んだわけだが、蓋が開けられてみると想像していたよりもはるかに原作に忠実に作られていた。主人公の山内が原作者・町田康本人を真似たような口調で(河内弁かな?)セリフを述べるのにはちょっとムカついたものの、原作小説の持つ面白さにしろ、オールスター的なキャスティングから現れ出るお祭りのような快活さにしろ、そんな細かい問題を吹っ飛ばしてしまう華がこの作品にはあった。私が期待していた中山祐一朗(猿回しの才能を発揮するシーンは見事!)、加藤啓、廣川三憲の3名はいつもどおりに個性とアクを発揮していて、健在ぶりにはニヤリだ。こういういかにもシモキタなコメディ調の演劇には彼らのキャラはやっぱり必要不可欠なのだ。主演の山内の存在感は雄雄しく立派だった(山内剣士VS宇梶剣士の立ち回りのシーンは全然面白くないのに印象深いw)し、後半になってやっと登場した小島聖の見映えの凄さも光っていた。
終盤、戦のシーンの作りが雑で、投げやりな感が強まっていたのは残念。カオスと化した町と人民をもっと踏み込んで描いて欲しかった。しかし私が原作を読んだのはずいぶん前のこと(小説が発刊されてすぐ読んだので2004年3月だ)なのに、ストーリーや登場人物名なんかはしっかり覚えているものだなぁ。
感動したとかオススメだとか言えるほどのデキの舞台ではないけれど、こういうのもたまにはいいね。ただ前売り5800円は高すぎる。


パンク侍、斬られて候

パンク侍、斬られて候

腹ふり

腹ふり