綿矢りさ 『蹴りたい背中』


蹴りたい背中 (河出文庫)

蹴りたい背中 (河出文庫)

なかなか面白いので綿矢りさをひきつづき読んでみたぞ。史上最年少(当時19歳)で芥川賞を受賞した『蹴りたい背中』だ。

学校でクラスに馴染めない・馴染もうとしない主人公「ハツ」とアイドルに夢中なヲタクキャラの同級生「にな川」。イマドキの若者にしては(イマドキだからこうなのか)ずいぶんと厭世的な二人の、ひねくれた交流を描いた傑作だ。
考えることも物事に対する意見も違う男女のチグハグな間柄は、正直読んでいてイマイチ何を伝えたいのか理解できなかったのだけれど、なにもかもがうまく噛み合わないぶんだけリアルなのかなとも思った。読みようによってはなんとでも解釈できる幅を持っているのはたまたまなのか、ネラいなのか。。。
ずいぶんと凝った比喩が多い。どれもなかなかウマい。やっぱり春樹からの影響なのか。ときおり見られるエッチな描写(陰毛だとかブラジャーだとかw)も読み手をドキッとさせるようにうまく書かれているし、なにより綿矢の最大の魅力であるリズムがあって潔い文体の躍動感はこの作品では特に光り輝いている。

才能なのか、若さのせいなのか、それともかわいい女の子だからなのか、私は綿矢りさが書いたものはなんでも面白いと思うようになってしまった。


Wikipedia綿矢りさ」:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B6%BF%E7%9F%A2%E3%82%8A%E3%81%95