中原昌也『忌まわしき湖の畔で』


新潮 2008年 01月号 [雑誌]

新潮 2008年 01月号 [雑誌]

文芸各誌の新年号に中原昌也の小説がたくさ〜ん!なにがどうなって同時にこんなに掲載されることになったのだろう。書きたくない書きたくないと連呼しながらも書くことを止めないこの男の需要はまだまだあるんだねー。



冷徹で陰鬱な文体、絶望的で暴力的で目を背けたくなるような残忍な描写の連発、加えてSFタッチな感じも若干ではある。
しばらく彼の作品とはご無沙汰だったが、やっぱり読んでみると惹きこまれるしこんなモノをかけるのは彼だけだ。今までよりも余計なものを削ぎ落としたように幾分スマートになったようにも感じられる。下から這い上がることなど到底不可能、救いの無い社会へのノイジーでパンキッシュなアンチテーゼ、濃厚で官能的な性描写アリの、そして某都知事もしっかり登場、ヴォリュームが少ないわりにはたっぷり堪能できる素晴らしい作品だ。



彼が貧乏だというのは本当なのかフィクションなのか、わからないわからない。。。。