大槻ケンヂ『オーケンののほほん日記 ソリッド』


オーケンののほほん日記 ソリッド

オーケンののほほん日記 ソリッド


引き続き新潮文庫オーケンを読んだ。『オーケンののほほん日記』の続き。仕事としての音楽、会社経営のようになってしまっていたバンド活動に嫌気が差して筋肉少女帯の今後について思い悩み、ソロや「UNDERGROUND SEARCHLIE(USG)」の活動を開始する頃の日記だ。心の病のほうはだいぶ快方に向かっていたようで、仕事においても日常においても現状をありのままに受け入れ、つらくとも前向きに生きようと努める姿勢は、音源や小説からは読み取られない大槻ケンヂの本音であろう。ファンにとっては興味深く、また、時に少々痛々しい。
読みどころは後半だろう。セールスには繋がらなかったとしても演りたいことを続けていく、表現したいことを欲求のままに表現していく、本来はミュージシャンとして誰もが持ち合わせているべき姿を保持し続けようとする決意表明は、80年代末から現在まで第一線で活動し続けてきた彼の文章で読むと、心に深く刺さってくるものがある。と同時に、USGのアルバムやその後結成することとなった特撮のデビュー作はそんな強い意思に基づいているからこそ、時代性とアングラロックの普遍性とを兼ね備えた素晴らしい作品となったのだと納得できる。


この日記から今年でちょうど10年。大槻の悩みのタネであったはずの筋肉少女帯は仲直りし復活を果たし、精力的に活動を続けている。なんと9月には武道館公演が決まっているとか。いやー。人生はどう転んでいくのか誰にも分からんもんだね。
それでも、生きていかざるをえない!!



爆誕

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