中島らも『バンド・オブ・ザ・ナイト』


バンド・オブ・ザ・ナイト (講談社文庫)

バンド・オブ・ザ・ナイト (講談社文庫)


ジャンキーライフ万歳!中島らもの長編小説である。今年は彼の小説やエッセイをちょこちょこと読んだがそれにしてもハズレがないなぁ。この本もまさしく中島らもな堂々たる名作であった。登場人物の描き方が巧すぎる。嫌が応にも感情移入しまくってしまう。このチカラはなんなんだろうか。ラリって一般的な道からハズれた生活を送る若い男女らが羨ましくなってどうしようもない。
アチラの世界に見えるモノ、沸き出づるコトバ、効能の意味はわかりにくかったとしてもページにビッシリと男気が溢れているのはカッコがいい。
各種ドラッグに関する知識が豊富なのはこの作品に限ったことではない上に、中島自身のサラリーマン時代を連想させるかのような印刷ブローカー社員っぷりの描写はまさに迫真!なにか若き日の彼の姿を覗いてみているような感覚が心地良く、ストーリーにグイグイ引き込まれる。普通だとやりたくてもなかなかできない、生きる道をオリジナルに突き進んでゆくスピリットにはこの作品でも拍手だ!