五反田団+演劇計画2007『生きてるものはいないのか』(こまばアゴラ劇場)

作・演出:前田司郎
出演:浅井浩介、上田展壽(突劇金魚)、大山雄史、尾方宣久(MONO)、岡嶋秀昭、駒田大輔、鈴木正悟
    立蔵葉子(青年団)、長沼久美子、新田あけみ 、野津あおい、肥田知浩(劇団hako)
    深見七菜子、松田裕一郎、宮部純子、用松亮、森岡
    荒木千恵同志社小劇場)/中村真生(青年団)※ダブルキャスト


前作『いやむしろ忘れて草』に続いて、五反田団を観るのは二度目になる。土曜日なせいでかなり多くの人が集まっていた。満席だったのかもしれない。男女比は4:6くらいであろうか、いかにもアゴラ劇場な、静かな演劇を好みそうな風貌の客層が多い。はたして今作もそっちの方向で魅せてくれるのだろうか。


いやいや、予想に反してアゴラらしからぬずいぶんなドタバタぶりであったぞ。総合大学のある街で、ウイルスか、奇病か、次々に人が突然死を遂げる奇怪なストーリーである。どこにでもいる、ありふれた日常を送る若者たちがあっさり最期を迎えるシーンがくりかえし続く。それまでどんな人生を歩んでこようともヒトの存在なんてものは結局ちっぽけなもので、もがき苦しみながら死んでいく彼らの姿はなぜかみな滑稽に見えてしまう。滑稽に思ってしまう自分を不謹慎に思う一方で、運命にあがなえない人の無力さや世界のどうにもならなさにちょっぴり悲しくなったりした。
登場人物は多めだがそれぞれしっかりキャラ分けがなされており、そのおかげもあって各シーン印象深く、見応え十分の作品であった。ゆる〜いダンスシーンにはこっちがひっくり返りそうになった(笑)。こういうのもできるのかよ、前田司郎。



前作同様、観たアナタが判断してくださいとでも言うような含みに富んだ表現や何かを象徴するようなゾクッとするラストシーンなんかも秀逸である。約2時間ギュウギュウ詰めのアゴラ劇場はとてもキツかったが前田の個性が存分に発揮されていて満足できた作品だと思った。