ウィリアム・シェイクスピア 『リア王』


リア王 (新潮文庫)

リア王 (新潮文庫)



マクベス』、『オセロー』に続いてシェイクスピアの四大悲劇に挑戦してみた。シェイクスピアの最高傑作として呼び声高い名作である。ジャンル的にもあまり取っ付きやすいではないし今まで読んだものよりもはるかに描写が大袈裟で相変わらずなかなか読み進まなかったが、幾分読み慣れてきた気もする。大まかな筋を追うことはできたと思う。何かを象徴するような比喩や寓話が大胆にセリフに取り込まれており、その辺に関しては全く理解できなかった。まだまだ勉強が足りんな。
王とその娘3名との確執を描いたこの『リア王』、上記の2作よりも描写もシーンもグロテスクで生々しさが満点だ。親子と兄弟・姉妹、血縁者間に飛び交う憎悪、復讐、欲、、、血を流し、襤褸を纏って彷徨い歩くまでに墜ちた貴族たち、カネや名誉を巡って王家が崩壊していく…。英仏戦争と絡めた濃い描写はステージで役者が演技する姿が活字から立ち上がってくるように感じられるほどのリアリティと迫力がある。



時代を問わない人間の本質、悪の一面が顔を見せる瞬間、怖いくらいにその姿を描ける劇作家がこんな何百年も昔に存在してたなんてすげえーー。