吉田修一 『パレード』


パレード (幻冬舎文庫)

パレード (幻冬舎文庫)


最近のマイブーム、吉田修一。彼の微妙で絶妙な人間描写はとても魅力的で、自分の中での無視出来ない度は段々と高くなっている。仕事の合間に新宿地下街の本屋へ寄ったら文庫を発見したので即購入。

恋人でも友達でもなんでもない5人の若い男女がマンションの同室に暮らすという変わった設定の物語。最初から最後まで短い文章が次々とたて続けるように繋がれているので、のんびりした雰囲気なのにスピード感が感じられる。5人それぞれの視点から見た共同生活、いたって普通だけどみんな狂ってる。どこにでもいるような人間の中に潜むちょっとオカシな部分だとか、何気ない行動の裏にあるゾッとする狂気が奥深くかつ丁寧に描写されている。人間なんてみんな究極のエゴイストさ。のほほんモラトリアム大学生、昔の恋人からの電話を一日中待ち続けるヒキコモリ女性、映画のレイプシーンを集めたビデオを隠し持つ女性、ホモ売春少年、、、一見すると人畜無害のつまらない奴ら。意識的なのか、無意識のうちか、日常生活では各自の本性は顕在されていないように見受けられるが。。。
若者たちが生き急ぐようにすばやく展開し続けるストーリーの結末、、、だーれにも予想できないような恐怖や憎悪、キミもボクも持ち合わせているハズだよ!