五反田団 『俺の宇宙船、』（三鷹市芸術文化センター 星のホール）

作・演出：前田司郎

出演：大山雄史、奥田洋平(青年団)、折原アキラ、川隅奈保子(青年団)、菊地明香
　　　　後藤飛鳥、齊藤庸介(東京ELECTROCK STAIRS)、立蔵葉子(青年団)、中川幸子
　　　　西田麻耶、三浦俊輔、望月志津子、前田司郎

先日はトークショウで楽しませてくれた前田司郎の率いる五反田団が三鷹（遠いよ・・・）で公演を行った。いつもやるアゴラとは違って、建物が大きくてピカピカだ。たまにはこういう会場でやってみるのも、小劇場界に付きまとう閉塞感を適度に払拭する意味ではいいのかもね。

毎度毎度の五反田団だ。いつもにも増してたくさんの役者が出てきては消え、くだらないと言えばくだらな〜いことを真剣に表現してくれていた。内容は相も変わらずダラダラ感とどうしようもなさを孕んではいるが、ストーリーはサクサクと進行してくれてすぐに物語へ没頭できた。
「少年探偵団」という組織を通じて今回取り上げられたテーマは、一言で言えばアイデンティティということになるのだろうが、そんなメッセージ性や示唆性を抜きにしてこの作品は大変面白い。生きていく上では全く役に立たないこと・突き詰めてもどこにも繋がらなそうなことの繰り返しで、着地点を探す気があるのかないのかも結局は分からないが、そんなことに正面から向き合う姿勢はなんとも芸術的ではないか！？看板女優・中川幸子（かなり可愛い♥）がすんごく（面白いけど）どうでもいいシーンでもったいないくらいにたいしたことない（インパクトだけは強いｗ）役で登場するが、こういう枝葉末節にこだわりを持って神経を通わせる方向性が私は大好きだ。笑いどころもインパクトのある演出も今回は多い。どうでもいいようなシーンがたくさんあって、どこまでが狙いでどこからが天然なのかは観ててもわからないんだけど、そういうものの積み重ねで1時間45分経ってみるとジーンと感動できる演劇に纏まっているというのはやっぱりスゴいことだよ。前田本人が（出番は少ないが）なかなか重要な役で登場するのもいいスパイスになっている。前作は楽しめなかったけど、今回はとっても楽しめた。嬉しい!!
会場が三鷹じゃなかったらもう１回観たかったな（掛詞）。タイトルの『、』は本谷さんをパロったのかな？