イキウメ試演会II 『煙の先』 Aプロ(キッド・アイラック・アート・ホール)

作:前川知大
演出:イキウメ役者部
出演:浜田信也、岩本幸子、緒方健児、篠塚茜(シベリア少女鉄道

イキウメ役者部による試演会。「試演会」という文字どおり、こんなのやっちゃいましたよという感じのもの。戯曲は劇団主宰の前川が以前よそに提供したものらしい。タイトルは『煙の先』。シベ少の篠塚(絶賛大成長中!)を迎えて、約一時間程度のざっくりとした作品だった。


前川が書いたサスペンス風な本をイキウメの役者が演じる、ということで大まかに言っていつもとそんなに変わりはない。サスペンス風、花屋で高級商品を盗んだ美少女(篠塚)が捕まえられることから展開する不可思議な物語で、あいも変わらず理屈っぽいなー(笑)。なんというか演劇というよりも朗読会じゃないのかい?というほどに作品全体から見てセリフの占める比重の高い芝居で、この劇団を観るときはいつもセリフを聞きとることに必要以上に注力させられて正直辟易させられる。いかにもねらった風な小ネタは不快感を感じるほどに寒々しい。それに加えて状況設定やストーリー展開(容易に先が読めて失笑したぞ)もなんだか稚拙で、やっぱり観に来なきゃよかったと思った、、、のは前半だけ。


後半になって、一本ずつ糸が解けていくかのように全容が明らかになり始めると、役者陣のパワーなのか、劇団の底力なのか、解ってはいてもちょっとずつ作品の世界に引き込まれるようになった。探せば探すほどアラが出てくるんだけど、それで楽しめちゃったんだからしょうがない(笑)。楽しめたのは、浜田&岩本というイキウメの中での好きな役者が揃って出演してくれたことに起因するのかもしれない。そして篠塚は観るたびに演技が上手くなっていて存在感が増している。可愛いよなー。
デキは良くなくても観てててごたえがタップリなんて、演劇のマジックだね。これで1500円とは安すぎる。