ペンギンプルペイルパイルズ #13 『審判員は来なかった』(シアタートラム)

作・演出:倉持裕


出演:小林高鹿、ぼくもとさきこ、玉置孝匡近藤智行吉川純広安藤聖片桐仁ラーメンズ


満を持してという言葉がピッタリ当てはまるように思える、小劇場界最強の実力派集団ペンギンプルペイルパイルズ(以下PPPP)の本公演、レギュラーメンバーだけでも毎回充分凄いのに、今回はラーメンズの片桐と安藤聖というツワモノを加えて、さらなるパワーアップを図ったか!?平日なのに立ち見も出る客入り。この面子だものそりゃそうなるわな。私はなぜか最前列。ちょっとハズカシ→。


あけてビックリ!いつもと違う!難しくない!解りやすい!変な深読みや勝手な類推や余計な想像を強いない、ストレートすぎるコメディだった。そうキタか!!独立したてホヤホヤの国家、国の行方に頭を悩ます大統領、新国技の開発に勤しむ者たち、予言をするのは国教の大司祭、農夫の持つ畑には軍機の破片が落ちてきたがそこからは未だ見ぬ次世代資源が発掘されるのか!!??ドリフターズも真っ青な回転式ステージで場面がめまぐるしく変わる変わる!出演者さんの早着替えもタイヘンだ!ってか誰が一人何役なのか一々数えるのももうメンドクサ〜〜〜〜〜〜〜〜いっ!!!





シンプルな物語のなかに知性のある笑いをふんだんに取り入れての、温かな味わいの作品だった。次から次へと押し寄せる小ネタの応酬はオカシイし笑えるし、だけどわざとらしさがなくて自然に楽しませてくれた。場面場面でいろんなエピソードがあり、面白いんだけど見た片っ端からどんどん忘れてしまうのがなぜか嬉しい。目の前で巻き起こる鮮度の良さが命の表現を味わえることの喜びといったら、こりゃ他では体験できない。

微妙に解決されていない伏線(らしきモノ)や途中で放置された事柄があったりして、つくりはあくまでアバウト。そんな倉持らしくないフザケた世界に有能な役者たちを飛び込ませて思う存分飽きるまで泳がせる、今回はこういう見せ方だった。出てくる役者はみーんな優秀なので、波が高かろうが水位が深かろうが楽しそうにノビノビと泳ぎまくる。主演のイケメン小林は華があって好感度抜群、でもそれよりもスゴいのはぼくもとと玉置だ。この二人の他に類を見ないキャラクターやコミカルな存在感には今まで以上にヤラレたぜ。ゲストの2名もなかなか重要な役、別に片桐と安藤をわざわざ引っ張り出してこなくても充分成立するモノだったかもしれないが、作品のカラフルさやトッチラカリ感を濃くするのに重要なファクターとしてしっかり劇団に馴染んでいた。PPPP流のハチャメチャ劇、倉持裕の懐はどこまでも深い。新国技開発の最初のシーンにはひっくり返りそうになった。今年一番のインパクト。2時間密度濃すぎ。すっげー名作。



ペンギンプルペイルパイルズ:http://www.penguinppp.com/