キャスト3人による劇的朗読劇 『苦情の手紙』(博品館劇場)

作・演出:中野俊成


出演:富岡晃一郎、町田マリー毛皮族)、ムロツヨシ


昨日椿組の公演で見たばかり、っていうか連日公演中の町田マリーが、合間を縫って今日は銀座でドラマリーディング。暑い暑い日曜だった。プロモーションが弱かったのか、出演者のネームバリューのわりに、びっくりするほど人少なっ!!まあいいか。席は2列目中央という至近距離なので細かいところまでがっちり見られそうだ。客席にはこちらも公演中の毛皮族の柿丸姉さんや武田嬢の姿もあった。


アパートの上の階の住人にやたらと苦情の手紙を送りつける女と、苦情を送りつけられる男のお話で、上演時間は80分、ライトなコメディだ。最初から最後まで大爆笑の渦、というよりはところどころでクスクス、ニヤリといった感じのユルめでお気楽な朗読。富岡のほんわかしたキャラクターは、ちょっと気弱でお間抜けな男の役にピッタリ。正直そうなところがいいね。技術的に上手いわけではないが雰囲気がしっかりでていた。町田はかなりヒステリックで好戦的な女の役をいつも芝居で見せてくれているとおり滑舌よくリーディングしていた。が、次から次へと出てくる苦情の弁よりもむしろ、富岡との間に作られた微妙な間や黙っている時の表情なんかによりらしさが出ていたと思う。朗読であってもそこはあくまで女優たり。髪のパーマは微妙だが能力は流石だね。通じてるんだか通じてないんだかよく分からない両者の絡みは見応えアリ。ムロツヨシは迷惑メールで男の人生を悪い方向へ悪い方向へと引っ掛けるオイシイ役。イタズラっぽい顔をしていて面白かった。


ラストで男がアパートを退去することになり、引越し後の強引なオチはイマイチだったが、普通な演劇では見られない一面を読み取ることのできるこの手の企画はやっぱり見逃してはならんと思った。リラックスした感じのカーテンコールでの町田マリーは可愛かったなー。今後こういうのがあるのなら、今度はもっと歯応えのあるモノを聞きたい。