椿組08年夏・花園神社野外劇 『新宿番外地』(花園神社境内特設ステージ)

作・演出:水谷龍二

ショー構成演出・江本純子(毛皮族)

主題歌:山崎ハコ

出演:千葉哲也有薗芳記、恒松敦巳、田渕正博、木下藤次郎、江本純子毛皮族)、町田マリー毛皮族
    井上カオリ、長嶺安奈、羽鳥名美子(毛皮族)、柿丸美智恵(毛皮族)、犬飼淳治(扉座)、沖田乱
    古屋治男(椎名町オフィス)、 伊藤新(ダミアン)、佐久間淳也(FINE BERRY)、本多英一郎(髭の会)
    平塚真、李峰仙、和泉歩、岡村多加江、横関咲栄、浜野まどか、鳥越勇作、宮本翔太
    根本大介(鳥人間コンテスト)、辻親八、 外波山文明


正午過ぎに雷がゴロゴロ鳴ってものすごい勢いで雨が降った。野外劇を観る日に限ってこれかよと思ったら、さーっと晴れ上がってくれて一安心。椿組と毛皮族、夏のコラボレーション、公演初日である。神社の境内で演るということで、ひっそりとした芝居を想像していたのだが、これがなかなか大々的で、キャパ350の席に観客がビッシリという光景は特設劇場という言葉の域を超えていた。客席には澤田育子に金子夫妻、モダンスイマーズの津村という俳優(ちなみに私の高校の一年後輩、面識全くなし)etc.見たことのある顔もちらほらだ。
この椿組という劇団を率いる主宰の外波山文明という男、劇団のHPを見て初めて知ったのだが「はみだし劇場(1971年〜1995年)」という独特の演劇を演っていた、かなりの大物らしい。テント・野外劇、旅芝居、街頭劇といったスタイルで慣らしたアングラ劇の大ベテランなのだ。そんな人たちと毛皮族の共演ということで、否が応でも期待が膨らむ。



世界から隔絶されてうっすらと絶望感の漂う近未来の「新宿番外地」。そこのキャバレーの女たちや経営者、革命を志す若者ら、たくさんの粋なキャラクターの愛と欲とが絡み合う群像劇だ。ストーリーはシンプルでわかりやすく、暑いなか扇子で仰ぎながらまったり観るのにちょうどよい。構成はうまいこと物語への関心を惹くようになっていたし、役者陣の技量(とくに椿組の人は本当によく教育されていたように思う)も十分、夜の新宿のほどよい雑音と相まって、ムード満点の芝居に私は自然と没頭してしまっていた。
そんなアウェイな場での毛皮族の4名はといえば、彼女らもなかなかの活躍ぶり。テント内、土の上の舞台にしっかり馴染んでいた。ヒロイン・町田マリーは持ち前のコケティッシュなキャラを活かし無難に役をこなしていた。彼女の姿を見たのは久しぶりだなー。羽鳥・柿丸も同様、毛皮族のときと同じ「彼女らの自然体」な演技で楽しませてくれた。数回挿入されたショーの主役は江本純子。今回は荻野目洋子になりきってDo you wanna dance tonght?(笑)。ジュンリーワロスwww。振り付けから衣装まで何気によく研究していたようで、まじめに面白かったぞ。ここまで潔くやってくれるとはさすがは江本純子
次々と場面が変わり、とっ散らかっていたパーツをどう収集をさせるかがミモノかなと思った終盤、いい感じでラブロマンス、ほどよくハッピーエンドな形で締めてくれた。突飛なことは一切なくても、コレで十分、上手いよなぁ。ココという場面で客席から明治通りが見えるようになる舞台装置もよかった。


うーん。書くべきことはまだまだ他にあるかもしれないが2時間いろいろあったのでこれくらいに。出演者から各スタッフ、かなり多くの人の手によって作り上げられた作品であることが想像されるが、そのチームワークの良さがひしひしと伝わってきた。演る側はみんなして生き生きとした表情をしていてとても楽しそうだった。1985年からここで公演をやっているそうだが、場所・地域へのこだわり・愛着も迫力のある芝居が演じられる原動力になっていたのではないだろうか。ここまで熱意の感じられる演劇というのはなかなかみられないものだ。エンディングで山崎ハコの生歌が聴けたのも嬉しい。初日に行ってよかった!


椿組:http://homepage2.nifty.com/tubakigumi/