smartball 『kiss me,deadly』(王子小劇場)

作・演出:名執健太郎

出演:白神美央、遠藤留奈、宮嶋美子(風琴工房)、深谷由梨香(柿喰う客)、石井舞
      石澤彩美、大塚麻央、富田恭史(jorro)、河西裕介(国分寺大人倶楽部)
      尾倉ケント(アイサツ)、後藤剛範(害獣芝居)


作・演出の名執健太郎という人が2006年に旗揚げしたsmartballという演劇ユニット、たいした予備知識があったわけではないが、観に行くことにした七夕の夜。というのは、キャスティングが白神美央、遠藤留奈、河西裕介(国分寺大人倶楽部)、と、はっきりポツドールな人脈で、三浦大輔の脚本以外での彼らの演技に興味があったからだ。
売春や拳銃売買を生業にして湘南の裏社会で蠢く三姉妹の生き様を、ブラックなタッチで表現する作風で、NEW ORDERやFREDDIE MERCURYなんかの曲が大音量でBGMとして導入されていた。舞台設備や小道具までROCKな感じだ。ストーリーテリングや演出はポツドールを意識した感がありありで、下品なエロスやバイオレンス、下級社会特有のやり場のない怒りや絶望感を表したかったようにみえた。



やりたことはわかるんだけどね、、、こういうのが一番難しいんだよな。ストーリーはありがちで展開は弱く、脚本の練りも甘い。悪い意味で幼く安っぽく、申し訳ないがお粗末な印象を受けた。エロい描写や下品な言葉の無意味な連発はかえって作品のイメージを悪くしていたように思えた。暗めな作風とは裏腹に、チームワークの良さそうな三姉妹の演技は逆に健康的で爽やかで好印象だったのはなぜだろう。役者の特性をうまく掴んでもっと物語の焦点を絞っていてくれればよかったのかもしれない。終盤の彼女らのやりとりはなかなかいい感じで書かれていたので、必要以上にブラックな方向にもっていかないほうがよかったような……。観ているうちに米村亮太朗安藤玉恵がでてくるかな?と思ったぜw。あはは。



白神美央(名前は可愛い。名前は。)が浮浪者の役をやるとホンモノのようだったね。優秀です。