宮入恭平 『ライブハウス文化論』


ノルマ課して、わけのわかんないバンドと組ませて、三万も四万も払って、「君の持ち時間は十五分です」って言われたら、その空間を守ろうなんて誰が思う。だから僕は、いまのライブハウスはクズだと。本当に、ちゃんとやってるところもあるよ。そういう人たちを否定するわけじゃないよ。そういう人たちも間違いなくいる。だけど基本的にはろくでもない。うちも含めて
(<ロフトプロジェクト代表・平野悠> 本書p214〜p215より抜粋)


ライブハウス文化論 (青弓社ライブラリー 53)

ライブハウス文化論 (青弓社ライブラリー 53)


タイトルのとおりにライブハウス文化を歴史的、文化的、社会学的な視点で論じた本だ。ポピュラーミュージックが日本に移入されてから現在に至るまでの、ライブハウスの誕生から現状やシーンが抱える諸問題まで、綿密なリサーチとミュージシャンでもある著者独自の体験をもとに、冷静に丁寧に書かれている。
周辺をうろうろしてなかなか核心に触れられず、終盤まではかなりもどかしい感じがある。が、現在のライブハウスと客とミュージシャン、三者のどうにもならないいびつな関係が生まれた背景や経緯は最後の最後でやっと論じられる。


ライブハウス、、、ハコはミュージシャンから巻き上げるノルマで経営が成り立っていて、ミュージシャンは良い演奏をすることよりもノルマを完納することに尽力する。フロアを見渡せば客はバンドの関係者ばかり、って、、、音でコミニュケーションを計る場としてはやっぱりオカシイよな?ロック人口が減少していくなかでライブハウスは供給過剰、集客力のあるバンドはハコにとっての神様で、そういうバンドを確保できないハコは今後淘汰されざるを得ないのか。個々に工夫を凝らして生き延びる道を見出すのか。ライブハウスも格差社会、難しい問題が山積みだが、あの汗臭い空間が好きだからこそ、目を背けずに真剣に考えたい。