池松江美 『男性不信』


男性不信 (本人本04)

男性不信 (本人本04)


昨日のトークショー時に購入した本を今日仕事中に麻布十番のファミレスで一気読み。本の見てくれは小説風だが、中身の方は自叙伝風(主人公の名は虫酸ラン子w)のロング・エッセイといったところか。こんな面白いことを書く人だとは思っていなかった。辛酸なめ子恐るべし…。


容姿が醜いせいで子供の頃からあらゆる苦渋と辛酸を舐めざるを得ない運命にあった女の、成人するまでの過程・戦いの日々を描いた快作だ。男はみんなレイプ魔なのか!?ですます調で皮肉っぽく独白する文体でこの世のありとあらゆる男を斬る。一文一文に幼き頃から重ね重ね染み付いた卑屈さと呪いと反骨精神がたっぷり詰まっている。どんなシチュエーションにおいてもとにかく爪弾きにされまくるブスの悲惨な状況の描写には、アイロニーとぶっ飛んだ比喩が非常に効果的に織り込まれていて、その滑稽さには素直に笑えてしまう。おもしれえよ!!つい共感し、なぜか無条件に受け入れてしまうような愛すべき要素がある。
そんな彼女の人生にも一筋の光が射すような射さないような、平凡だけどほんのりと温かいラストの心理描写も可愛らしい。



顔面偏差値によるヒエラルキー、SEXしているヤツが優れていると捉えられる、、、目に余るほどの性欲至上主義的な日本社会へのアンチテーゼは、女性の視点から描かれると解りやすく、楽しめるんだね。