綿矢りさ 『インストール』


インストール (河出文庫)

インストール (河出文庫)


上戸彩主演で映画にもなった(神木隆之介が「おっぱい触らせてください♪って言うヤツ」)この小説、今更ですが読んでしまいますた。綿矢りさが高校2年生(17歳)のときに書いたデビュー作だ。
2001年、河出書房新社より刊行され、 発行部数50万部のベストセラーになる。第38回文芸賞を受賞したWikipediaより)。文庫版あとがきで高橋源一郎も述べているように、21世紀最初の年にこういう作家が出てきて、こういう作品を発表するというのはなんともいえない新鮮さを感じてしまうものだ。
「人に好かれる文体」で書く力が生まれながらに備わっている作家なのだと思った。読む者をグイグイと引き込む力がとても強いのだ。軽くて簡潔で描写もシンプル、文学の伝統や因習にとらわれない清々しさを持ち合わせている。主人公の朝子がどこかしら厭世的で脱力風だったり、ドキッとするようなエロい言葉が時折登場するのには村上春樹からの強い影響が読み取られる。
書きたいままにスラスラと書いちゃったのか、それとも実はかなりの確信犯で大きく狙って書かれたものなのか、解らないけどこの人の小説は本当に面白い。