大槻ケンヂ 『縫製人間ヌイグルマー』


縫製人間ヌイグルマー (ダ・ヴィンチ ブックス)

縫製人間ヌイグルマー (ダ・ヴィンチ ブックス)


ダ・ヴィンチ」に長期連載されていたヤツだ。単行本化されたのは2006年の11月で、昨年ライブ会場でサイン入りの本を購入したのを今頃になって読んだ。


彼の小説では3部構成の『グミ・チョコレート・パイン』に次ぐ400ページを超える圧倒的なヴォリューム、いままでオーケンが歌詞・小説・エッセイ等で取り上げてきたアイテムの数々が盛りだくさん、彼の気合がブ厚い本からみなぎっている。物語の舞台は彼が生まれ育った中野〜高円寺、テーマは愛、友情、正義、勇気、平和、読んでいる方が恥ずかしくなるようなクサいストーリーであるが、筋肉少女帯デビューから現在までずっと彼のペンにより語られ続けてきた世界の不条理さや運命のはかなさ、無力なダメ人間がそれらに勇敢にタチムカウ姿が、ここぞと言わんばかりの熱のこもった文体で描かれている。ぬいぐるみ、ゴスロリ、赤ちゃん人間、綿状生命体etc、特撮の歌詞とリンクする内容の描写がなかでも多い。






作家としての大槻ケンヂを総括するような名作かもしれないね……。





と思ったが、、、、、どうしてここまで幼稚に書くのだろう。狙ったような餓鬼臭さがどうも鼻についてくる……。そのうえ物語の大部分を占める戦闘シーンがつまらなくて読むのがどんどんイヤになってく〜〜。特撮モノ、戦隊モノのカッコ良さに憧れる気持ちはわかるが彼の力ではうまく描けなかったようだ。何かの本から引っ張ってきたような格闘技のウンチクとそれの説明がただただひたすら続き、肝心の焦点が結末に近づくにつれてボヤけていってしまっている。もっとスマートにまとめられなかったものか。スムースに展開させることはできなかったものか。ストーリーが良くできているだけに非常にもったいない。。。面白いハズのものが面白くない、これは残念。




ヌイグルマー

ヌイグルマー



前半のほうに空耳アワーからの引用があったね。