陰陽座 『魔王戴天』


魔王戴天

魔王戴天


昨年夏にリリースされた陰陽座の7thアルバム。メジャーデビューからもう6年、活動は相変わらず順調で、自らの足元を見失わずに着実に成長しているように思う。「妖怪ヘヴィメタル」と名乗る一見イロモノなヤツらがどれだけやれるか、興味はまだまだ尽きない。


この作品はバンドがいままで築き上げてきたことを振り返り、ここで一旦総括するかのような120%彼ららしい音に仕上がっている。今回に限っては新しい試みや実験的な要素は少ない。世界観のみせ方、作詩の技術、曲構成の面白さ、もとからの長所が今までのアルバムよりも一段と際立っているだけでなく、昔はヘタだヘタだと言われた演奏も国内最高の人気ヘヴィメタルバンドの名に恥じないほどにしっかりレベルアップしている(とくに瞬火のゴツゴツしたbassプレイは必聴!)。黒猫&瞬火、両者の個性を活かして上手く歌い分けるツインボーカルの妙技も絶品だ。前作と同様にサウンドは(というかドラムが)比較的軽めだが、あくまで歌中心に聴かせる・歌があってのヘヴィメタルだというのがバンドの意向ならばこれで良いだろう。ドロっとはしていてもなぜか取っ付きやすくわかりやすいのも彼らの人気の要因だろう。これは間違いなく最高傑作でしょう。
初めて陰陽座の作品を買おうとする人にはベストアルバムよりもこれをオススメしたい。


93点。