CINRA presents 『exPoP!!!!! volume9』(Shibuya O-nest)


出演:mass of the fermenting dregs、タラチネ、マヒルノPANICSMILE


自分にとってのライブ納めでなんと無料イベント。ドリンク券を買ってないのになぜかネストの店員は私を入場させてくれた。ライブハウスのスタッフはバカであればバカであるほどありがたい。どうせ他のライブハウス同様、今日いたヤツもすぐに辞めていなくなっているであろう。どれだけ職に困ったとしても、自分でやりたい仕事だとは思わんな。チケット切りだとかドリンクサーブだとかは人間のクズがやるのにふさわしい。


夜10時を回ったところでPANICSMILEがトリで登場。なんとなくバンドとして充実しているような雰囲気が漂っていた。イースタンユースとの2マンライブを終えて何か得るものがあったのだろうか。ロックらしい激しさを前面に出した音で会場は大きく盛り上がった。

最近のパターンどおりに昔からの代表曲と最新作『BEST EDUCATION』からの曲を織り交ぜるセットリストであった。メンバー4名のイカレたプレイはもちろん健在、この一年を包括するかのような気合の入り方で、約40分間熱いパフォーマンスを見せてくれた。プログレ?フリージャズ?アヴァンギャルド?なにをどうやったらこんな実験性の高い曲ができあがるのか、遊び心とマニアック加減、知性とバカさ加減のバランスの取れた楽曲にはよくわからないけど引き込まれる。決まったビートを刻まないドラムに両者相容れないツインギターが乗ると、酩酊感は抜群である。吉田肇(Vo,G)の「酒が入っていないと楽しめない」という発言は的を射ていた。このバンドの曲としてはとっつきやすい‘Pop Song’、‘So Close’、‘Goodbye’の3曲には特に興奮したし、石橋英子がヴォーカルをとった‘Dryfish’と‘Yuuuca’はうまく妖艶な雰囲気が出せていた。キラーチューン‘STIFF LITTLE FINGER’とアンコールの‘FREEDOM IS THIS’の音の濃厚さは圧巻であった。


今年の3月に初めてPANICSMILEのライブを見て以来、バンドじゃなけりゃ出せない音を聴くことの面白さと存在の貴重さにはいつも頭の下がる思いがする。やることがあまりに個性的でこういうバンドが一番文章にしづらいが、掘り下げれば掘り下げるほど価値を見出すことのできそうなアーティストに違いないと思う。年明けのライブも数本決定しているようだし2008年も楽しみな存在である。


10songs,10cities

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