NYLON100℃ 31st SESSION 『わが闇』(本多劇場) 〜 2回目〜

作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:犬山イヌコ みのすけ 峯村リエ 三宅弘城 大倉孝二 松永玲子 長田奈麻
    廣川三憲 喜安浩平 吉増裕士 皆戸麻衣
    岡田義徳 坂井真紀 長谷川朝晴


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昨日映画館のスクリーンで見た(グミ・チョコレート・パインテアトル新宿)人たちを、今日になって生で見るというのはなんだが不思議で面白い現象だな。もちろんこんなことは人生で初だ。ケラの書き下ろし大作『わが闇』、評判も上々のようで今日も客席は満杯。長塚圭史だとか馬渕だとか近藤芳正だとかこの世界の有名人の顔もチラホラ見かけた。


心や体にそれぞれの闇を抱える者たちの物語。その闇は特別大きいモノではないから致命的ではないが、その分だけ厄介だったりする。この芝居の中では、死んでいった者よりも生きている者のほうがなぜか哀しげだ……。



姉妹、親子、夫婦、親戚、先輩後輩、、、近い関係であっても、分かり合っている間柄だと思ってはいても、些細なすれ違いや衝突は必ず生まれてしまうもので、どうもうまくいかなかったり、理解されなかったり、人生はそんなことの繰り返しである。それをひとつ解決したとしても、また次に別のそれが二つも三つも襲ってきて、結局人は苦労するばかりだ。3時間を越える長い舞台、少なくない登場人物それぞれの「闇」がじっくりと慎重に描かれている。ナイロン100℃らしい笑いの要素やトリックはあっても、空気は静謐で、悲しみを抱えた人がリアルに表現されている。


ケラリーノ・サンドロヴィッチは実験性と深みのバランスの取れた見事な脚本を書き、犬山イヌコ峯村リエみのすけ、廣川三憲、この4名は歴史的な怪演を見せてくれた。私にとっては何よりも嬉しいクリスマスプレゼントである。ひと段落した感のあるこの劇団は次にどこへ向かって進んでゆくのだろうか。







※「でくのぼう」は「木偶の坊」と書くそうだ。これ、ナイロン豆知識な。