M&O plays+PPPPプロデュース『ワンマン・ショー』(シアタートラム)


作・演出;倉持裕
出演:小島聖水野美紀長谷川朝晴、小林高鹿、ぼくもとさきこ、玉置孝匡
    内田慈、近藤智行吉川純広


前作『道子の調査』以来、2度目の観劇になりますよペンギンプルペイルパイルズ。個性的な劇団員に加えて小島聖水野美紀という強力な客演陣、そして個人的に極めて有能で可愛らしいことこの上ない内田慈までも名を連ねるという素晴らしいラインナップだ。どうせ今作もむつかしくてわかりづらいんだろーなと思いながらも家から歩いていけるシアタートラムへ入場した。雨の降る平日なのに満席な上に立ち見の人までいた。天晴!



やはり倉持裕だ、頭の中がこんがらがるような複雑でねじくれたストーリー。普通に演るとかなりとっつきづらいモノになりそうなところを、ギリギリのところでそうならないように緻密に創作されていたように思える。それは役名に色を冠したカラフルな心遣いと出演者それぞれの心温まるほのぼのした演技のおかげだ。主役の小林高鹿の意味ありげな好青年ぶりも光っていたがやっぱり今回もすごいのはぼくもとさきこだ。分断された物語の断片を繋げるキーパーソンたる役目をいとも容易いようにあっさり演じていた。
序盤は意味のわからない場面の連続でも後半になってくるとそれがひとつずつ想像しない形で解きほぐされてゆく過程がこの作品の肝だ。懸賞マニアの青井(小林)が全く当選しないのはどうしてか?青井の妻・紫(水野)が夫に隠そうとした物は何か?そして、、、謎のダンボールの中身は……?
腑に落ちていくことにたいしての納得感と予想もしなかった展開に対する驚きの気持ちが同居する不思議な感覚、このメビウスの輪のような世界こそがペンギンプルペイルパイルズ独自の醍醐味であろう。パズルのピースが噛み合って合点がいく瞬間も、それに加えて微妙に理解不能な部分も含めて面白い。絶対に誰も真似することなどできないであろう。倉持と小林・ぼくもと・玉置、チームワークの良さに起因する他では絶対に味わうことのできない堂々たる個性の塊には本当に感服である。



終演後にみのすけが客席にいるのをみかけた。そういえば小林高鹿はむかしナイロンに所属していたんだっけね?