青山ピアノナイト9days〜初日〜「ユレるピアノ」(AOAYAMA月見ル君想フ)


出演:KOME、松崎ナオ、島崎智子、石橋英子×アチコ


青山にあるオシャレなライブハウス月見ル君想フにグランドピアノを持ち込んで執り行われるその名も『青山ピアノナイト9DAYS』。天井が高くて反響のいい会場なだけに生ピアノの良さが明確に音に顕れるであろう。こういう粋な企画を積極的にやってくれるハコはありがたい。おまけにステージが高めで見やすいし、好印象、好印象。

ピアノ・ヴォーカルとウッドベースという面白い編成のKOME、モテない女の複雑な心境をストレートに、時に面白おかしく歌った島崎智子、バンドスタイルで元気よく歌ったこの日一番人気の松崎ナオ、どれも個性的で聴き応えのあるアーティストに続いてトリで石橋英子×アチコが登場した。
夏らしく涼しげなワンピース姿で登場した石橋といつもよりもカジュアルな服装のアチコ。さすが彼女らのホームグランドでのライブだ、ステージに現われただけでもう貫禄充分、このユニットと出会ったことは私の今年一番の収穫である。1曲目は珍しく豊田道倫のカヴァー‘大人になれば’だった。グランドピアノが相手だといつも以上に石橋のピアノは素晴らしく感じられた。指づかいが軽快なのはもちろんのこと、曲ごとの微妙なニュアンスや雰囲気・テーマを精密に表現しきっていた。どの曲でも音の表情が豊かで、激しく弾く場面でもしっとりと奏でる場面でも自身の魂が込められていた。ライブを重ねることによってCDよりもさらに素晴らしい、人間の中身を見せるような生々しいプレイに磨きがかかっているようだ。‘LOLA&SODA’での迫真の演奏は何度聴いてもスゴイ!
同様にアチコの歌もますます物凄いことになっている。声の伸び、張り、艶、高い声も低い声もなんなく操る技術、歌詞の世界に合わせた表現力、どれをとってもその辺のシンガーとは比べ物にならないほど魅力的である。なかでも‘私のお気に入りじゃないもの’や‘Apartment’などではその素晴らしい能力を強力に発揮して最高のパフォーマンスを聴かせてくれた。昨日出来たばかりという新曲も彼女ららしい世界観に満ちた、可愛らしくてちょっと後ろ向きな、奥の深い佳曲であった。
彼女らのライブを見るのは通産で4度目だが回を重ねるごとにゆったりした曲の良さが身に染みるようになってきた。聴く側がうっとりしてしまうような‘犬のうっとりさん’やいつもライブを締めくくる‘春と小石’では静謐な世界観と適度な遊び心と音楽を愛する感情など様々な要素が織り成すように曲に詰め込まれている。‘春と小石’の冒頭のアチコのスキャットはとても印象的で今日もうっとりと聴き入ってしまった……。7月もライブも行く、絶対。

石橋英子×アチコ

1、大人になれば 2、LOLA&SODA 3、私のお気に入りじゃないもの 4、新曲(今日?)
5、Apartment 6、犬のうっとりさん 7、新曲 8、春と小石


ロラ&ソーダ

ロラ&ソーダ