シベリア少女鉄道vol.17 『永遠かもしれない』(池袋 シアターグリーン BIG TREE THEATER)

作・演出:土屋亮一
出演:前畑陽平、篠塚茜、加藤雅人(ラブリーヨーヨー)、吉原朱美(ベターポーヅ
    浜口綾子、石松太一、森口美香


『あそむび』というミニドラマが数ヶ月前にNTT西日本のサイトに掲載されていた。吉本菜穂子町田マリーが出演していて、土屋亮一が脚本を書いたものだ。それがとても面白かったので、これを機にシベ少本公演にトライ。初見である。
なるほどまさにタイトルどおり永遠かもしれないだ。交通事故で姉や相方を亡くしたお笑い芸人が新しい相方とともにTV番組に出演することになった。そこで……。



いやぁ〜。観に行ってよかった!この作品は大当たりだ。本当に面白かった。序盤の約30分で状況設定をしてそこからラストまで一気にスパークしまくり!!2時間半弱の公演、長かったけど終わってみればそれでよかった。土屋亮一はよくもこんなネタを次から次へと思いつくものだ。一本15〜20分くらいの小芝居が息つく間もなく立て続けに繰り広げられるのだが、どれも発想が優れていてそれぞれに見どころがありグイグイと引き込まれてしまった。誰もが軽く笑い飛ばしてしまうような内容ではあるがそこにはチープさや下品さはなく、むしろきわめて演劇的であり、生の人間(出演者)が眼前にいる生の人間(観客)を相手にする形態でしか表現しようのない芸術であった。こんなことを惜しげもなく堂々とやりのけてしまうとは凄いぞ、土屋!1シーンを笑い飛ばせばまた次のシーンが襲い掛かってくる、またまた襲い掛かってくる、またくる、またまたくる、また…。スピーディーで予想もつかない展開から目が離せなくなるのだ。

主演の前畑陽平篠塚茜は出ずっぱりで喋りっぱなしであったがいとも容易そうに、まるで素であるかのように演技をこなしていた。特に小さい体を器用に動かして奮闘していた篠塚茜の演技は素晴らしく、ちょっぴり滑稽で可愛らしく、彼女には2007年のMy主演女優賞をあげたい(笑)。
特に印象に残ったのは6人の男女がディスコに入場しようして2枚しかない手元のチケットを持って頭を悩ませるシーン(6名入れるとなった時には思わず拍手しそうになったぞ)、それとタイムマシンで江戸時代に行った男が現代に戻って来れない理由を女助手と教授が説明するスーパー難解長台詞だ(笑)。
笑いを誘うモノはふだんあまり観に行かない主義な私だが、今回のシベリア少女鉄道のように発想の凄さやアイディアの豊富さで笑わせてくれる作品であるならば何度でも観たいものだ。大笑いするのとはちょっぴり違う、普段使うのとはちょっぴり違う箇所の腹筋が鍛えられた。きわめて芸術的。


シベリア少女鉄道http://www.siberia.jp/



BGMはこれ

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