大人計画『ドブの輝き』(本多劇場)

作・演出:松尾スズキ宮藤官九郎
出演:阿部サダヲ池津祥子、伊勢志摩、顔田顔彦宍戸美和公宮崎吐夢猫背椿
    皆川猿時村杉蝉之介田村たがめ荒川良々近藤公園平岩紙宮藤官九郎
    松尾スズキ(映像のみ)、宮沢紗恵子池田成志


壮絶なチケット争奪戦を見事勝ち抜き、上京してから丸5年でやっと初めて観られることになった大人計画の本公演。松尾スズキが病気で出演できなくなり、池田成志が代役で出ることになったらしい、どうなのだろう。忙しいはずの月末にさっさと仕事を切り上げて下北沢に向かった。本多劇場に到着してみると、普段小劇場にいる客層とはずいぶん違うのが感じられた。やはり女の人が多い。私はお便所でウンコをしたり、ロビーに並べてあるチラシや物販を眺めて時間を潰しながら開演を待った。


涙事件」(作・演出/宮藤官九郎)・「えっくす」(監督・脚本/井口昇)・「アイドルを探せ」(作・演出/松尾スズキ)という3部構成のこの『ドブの輝き』、こういうのが大人計画なのか、なんとなくテレビブロスのようなプチサブカル誌の小コラムのにおいがした。最初の「涙事件」はまあまあだと思ったが他の二つは恐ろしいほどにつまらなく感じた。周りの客は大笑いしている人もけっこういたが何が面白くて笑っているのかさっぱりわからなかった。あまりにも浅はかで陳腐で深さが感じられない。時折現われる下ネタはどこか発想が素人っぽく普通につまらなかった。あの大人計画という劇団はこういうのなのか。友達にこういうのを好んで観る人がいたらイヤだなぁと思った。ねえ。



芝居がつまらないので途中から他のことをして暇をつぶすことに決めた。開演後30分位してから隣のブスな女が携帯電話を鞄から取り出した。必死に作品の良さを見出そうとしていた私は眩しかったので、それをネタにしつこく睨んだりオナラ(本多劇場限定スペシャル無音ヴァージョン)をキメたり、耳元すぐで鼻糞をほじくり捲くったりしてあげた。そうすることで別に面白くなったわけではないが、何もせずに座っているよりはよかった。暇がつぶれたのだ。ブスよありがとう。逆側の隣には巨漢オバサンが座っていた。序盤から汗まみれだ。馬のようにゴクゴクとスポーツドリンクを飲んでいるのが印象に残った。きっと彼女のオナラは私のよりずっと強烈なにおいがするであろう。オナラ勝負をすべきだったかもしれない。


終演して会場を出ると雨が降っていた。傘を持っていなかったのでズブ濡れになりながら駅まで歩いた。俺は下北沢という街が嫌いだ。松尾スズキも。