ジェットラグプロデュース『バラ咲く我が家にようこそ。』(シアターサンモール)

作:牧田明宏(明日図鑑)× 演出:多田淳之介(東京デスロック)
出演:大口兼悟町田マリー毛皮族)、寺内亜矢子(ク・ナウカ
    吹上タツヒロ(トラッシュ・マスターズ)、夏目慎也(東京デスロック)
    山本雅幸青年団)、本多裕香、甲衣都美、坂口芳貞(文学座


どういうタイプの演劇なのだかよくわからないが町田マリーが出演するからという単純な動機で観劇。毛皮族のファンが多いのかなと思ったら全然違った。30代後半〜40代のオバサンが多かった。どうやら大口兼悟という人気俳優目当てのようだ。
普通に小劇場らしいというか、大げさな演出があったり感動大スペクタクルといった内容の脚本ではなく、登場人物個々の心の動きや微妙な感情の流れをひっそりとあらわすという作品であった。よって最初から最後までかなり淡々としていた。その淡々さからかなりの欠点が垣間見えてしまったので正直ツラかった。こういう地味な芝居には特に表現力や出演陣のまとまり・チームとしての意思がハッキリしていないと難しいと思うのだが、父親役の坂口芳貞以外は揃いも揃ってヘタクソで情けなかった。。。
お目当ての町田に関してはかなりがっかりだ。与えられたセリフを話すだけ、ただ演技をこなしているだけのように見えてしまった。もっともっと自分の作品に対する想いなどを表現できる女優だと思っていたのだが…。人気者であるらしい大口兼悟という俳優も同様にたいした魅力は感じられなかった。
脚本もどこかギクシャクしてチグハグさが感じられた。演出もイマイチ弱い。いきなり話がぶっ飛んで取って付けたようなラストシーンは良かったかもしれないが、全体と繋げて考えるとありがちで短絡的で、あまりにチープであった。



この手の静謐な演劇というのは非常に難しいものである。こういうのを魅せられるような劇団は数少ないのかもしれない。先日観たポツドールの『激情』と合わせて考えてみても、町田マリーが一劇団の看板女優というという地位からさらにステップアップするのはまだまだ先のことになりそうだ。江本純子と心中するつもりでより毛皮族に注力する道を選んだ方がよいのかもしれない。『ドリアンガールズ』が面白いだけに残念である。