”WA” (7th Floor)

出演:うつみようこ石橋英子×アチコ、echo、羊毛とおはな


7th floorというところに初めて行ってみた。渋谷O-WESTの入ってるビルの7階にある小洒落たライブハウスだ。スタンディングではなく椅子席で、照明は派手すぎず必要最小限で、グランドピアノが置いてあって、ロックのライブよりもアコースティック系の音楽を演るのにぴったりな会場であった。そんなハコの雰囲気にマッチしたアーティスト4組が登場した。お買い得で美味しいライブだったぞ。


2番手で登場したechoという髪の長い女性シンガーソングライター、彼女の存在はまったく知らなかったのだが、これがかなり気に入った。黒いエレアコをかき鳴らし、バックバンドを従えて、ちょっとネチッコめの声でキャッチーな曲を連発していた。印象に残るメロディーを組み合わせたナチュラルな、わかりやすくて気軽に聴ける良い曲ばかりだ。‘kazamidori’という曲が特に気に入ったので『♪melody』という5曲入りのミニアルバムを買ってしまった。ライブ会場で初めて知ったアーティストのCDをその場で買うなんていつ以来のことだろう?今後のライブも是非見たい!


秘密のムフフ体験の後、驚異のユニット・石橋英子×アチコが登場。一曲目かららしさ全開で場内の空気をガラリと凍りつかせた。フロアにいた全員が聴き惚れていただろう。緩急をつけた石橋のピアノプレイはいわずもがな今日も物凄い。もしもキース・ジャレットが童謡を弾いたらこんな感じになるのかな?と思った。タッチの繊細さと独特の雰囲気を持つボイシングのマニアックさとの対比が魅力的なのだ。親しみやすいフレーズの中に時折ホロっとグロテスクなノートが顔を見せる。どこかしら生々しいなにかを感じさせる。柔らかいピアノをただリラックスして聴きたいときでも、確信犯的なニクいプレイを聴きたいときでも、彼女のピアノはすごく要求に見合うのだ。アチコの歌も前回見たライブよりずっとよかった。柔らかく歌ってはいても確固とした芯は失わない、生で聴くと歌詞の内容もより身に染みるように迫ってくるものがあった。古風で綺麗な日本語で書かれた若干内省的な世界観は、フロアの隅々にまで響き渡り、曲を重ねていくにつれてなんとも言えないゾクゾク感が胸に込み上げてきた。ピアノと歌という最小限の編成でここまでスゴいことをやられてはもうなにも言うことがない。とにかく素晴らしい音楽であったのだ。聴けば聴くほどもっと聴きたくなる!今年の№1 MY FAVORITE ARTISTだ。ラストの‘春と小石’前半のアチコのファルセットには鳥肌が立ちまくったぞ。



石橋英子×アチコ

1、LOLA & SODA、2、新曲 3、赤とんぼ 4、Apartment 5、のこされし者のうた 6、私のお気に入りじゃないもの
7、犬のうっとりさん 8、大人になれば 9、春と小石  (順不同)