NYLON100℃ 29th SESSION 『ナイス・エイジ』(世田谷パブリックシアター)

作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

出演:峯村リエ大倉孝二みのすけ松永玲子、長田奈麻、新谷真弓、安澤千草、廣川三憲
   藤田秀世喜安浩平、大山鎬則、吉増裕士、杉山薫、植木夏十、皆戸麻衣、柚木幹斗、佐藤誓
   志賀廣太郎青年団)、原金太郎、坂田聡池谷のぶえ、加藤啓(拙者ムニエル)、松野有里巳
   立石凉子演劇集団円

2006年観た演劇の中でナンバーワン!!心に深く深く突き刺さり、感動し、笑って、泣いた。。。
休憩含めて3時間半超の長芝居、最初から最後まで目を離す間もない、完璧な作品である。私とナイロン100℃との出会いは想像を絶するほど運命的で歴史的で衝撃的であった。



ナゴムだとか有頂天の名前を出さずとももうすっかりこっちの畑で有名になったケラリーノ・サンドロヴィッチ。『労働者M』や『漂う電球』等、今まで彼の携わった作品を何本か観たことはあったが、ナイロン100℃自体は今作が初めて。追加席発売後にチケットを買ったらなんと最前列なんて運が良すぎる。この『ナイス・エイジ』は2000年9月に公演された作品の再演だとのこと。やっぱりKERAだなと思われる笑いの要素(大倉孝二は一言一言面白すぎたw)はもちろんミドコロの大きな一つなのだが、それを遥かに凌ぐ他の様々な魅力が思ってもみないほど大きかった。観る側を、人間というものの内奥をよく研究して、それをふまえての表現すべきものが緻密に具現化されていた。

内容を手短に説明すると、貧乏で質素な生活を送る家族が突然古き良き昭和時代(東京オリンピック直前の頃や日航機墜落事故の頃)やら未来やらに行ってしまうタイムスリップ・コメディである。
時間を巻き戻したり過去の自分に遭って何かを指教したりできたら、なんてことは誰でも思ったことあるだろう。人間はどうあがいても時の流れには逆らえないもので、あの時ああしていれば……、、、という後悔や反省のうえに人生は成り立っている。そんな観る側の者の心を見事に追究した上で、微妙にそこをくすぐり、くすぐった上で、でも結局過ぎ去ってしまった過去はもうどうにもならないから、だから今生きるのは楽しいんだよ。そういう気分になった。
みのすけの素朴さや松永玲子のややオーバーアクションさ等、役者個々の持つ個性が巧みに生かされていて、登場人物は多くても適材適所なキャスティングには納得100%だ。一動作ごとにコミカルな大倉孝二、爽やかなルックスと不思議系な存在感のギャップが良い加藤啓、聖子ちゃんみたいなコも可愛らしかったし登場人物それぞれに親しみと愛着が沸いた。




うーーん。もう1回観たいぜ!でもなんでガリレオ・ガリレイなんて押韻された名前なんだろうね?ビール瓶の欠片が飛んできた時にはビックリした!