「ひとつ、村上さんでやってみるか」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける490の質問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか? (Asahi Original)

これまでのと同様、村上春樹と読者とのメールのやりとりを1冊にまとめたもの。鋭くへヴィな質問から笑ってしまうようなどうしようもない質問まで、村上さんが親身になって丁寧に答えてくれている。読みやすい文章で簡潔に独自の意見を述べ、悩める読者が道を切り開く手助けをしてくれているのだ。そしてそれらの答えの中から村上春樹という人間の生き様や哲学、行動指針、、、今まで何を目指してきてこれからどこへ向かっていこうとしているのかを読み取ることができる。小説やエッセイだけでは伝わってこない何かを読んで感じられるのは非常に嬉しいものだ。安西水丸のイラストには心癒されるし、時折登場して辛辣なコメントを残す猫マーロウさんの存在も渋い。マストアイテム!

それにしても、メールを送ってる人ってどうして文系の大学生だとか、海外在住者とか、出版関係の職を志望する者だとか、ジャズや古いロックが好きな人とか、そんなインテリ(きどり)ばかりなのだろうか?土木作業員や塗装工や大工さんやトラックの運転手とかヘヴィメタル・ヘッドバンガーは春樹を読まないのかな???ってかそもそも本自体読まない?そういう人たちと彼の対決も読んでみたい気がするが。