町田康『供花 (新潮文庫)』


供花 (新潮文庫)

供花 (新潮文庫)


マーチダ先生の詩集ですぜ。小説や歌詞と同様に、時代劇や落語・演芸からの影響を感じさせる言葉遣いがプンプンする。それに加えてどうやって思いついたのか全く判らない独自の町田語が、唯一無二の世界観を構築している。ってか正直私には意味がよく解らんかったのも多数あったが、雰囲気というか味わいというか、言葉では説明できないsomethingを充分吸収した気になることができた。
ダメ人間の取るに足りない日常、終末論的社会危機、小説や音楽で用いられているお得意のネタがここでも面白いように炸裂している。巻末の福田和也の解説では、音楽よりも歌詞よりも「詩」が町田の原点と述べられているが、私も同意。