中原昌也『待望の短篇集は忘却の彼方に』


待望の短篇集は忘却の彼方に

待望の短篇集は忘却の彼方に


現代に生きる男の心の闇やあらゆるものに対する憎悪を余すところなく書き綴った中原昌也の短編集。不条理な社会と自己の無力さに起因する、人間のイライラ感を書かせたらこの男の右に出る者はいない。どの物語にも共通するのは社会に上手く適応できない暗くてダメな人間の、どうにかしようと思ってはいてもどうにもならない哀れな運命だ。諦めるしかほかに術は無い、全体を覆う暗い雰囲気はどうみても不健全で異様だ。
筆づかいは暴力的で傍若無人で、怒りも憎しみも非常に生々しい。。。
また、彼の描いた個性的なイラストも何点か掲載されている。小説同様、異様に暗くてどうしようもない。誰でもいいからもうぶっ殺したい!!という感情は今を生きる者の心情を代弁している、と言っちゃっていいのかな??