『マイルス・デイビス―没後10年 (KAWADE夢ムック)』


正直、私にとってはちょっと小難しい本だった。なので好きな部分だけを流し読み♪それだけでもこの本の有用さはキチンとわかるほどよくできている。轟音電化マイルスの魅力をここまで深く検証した本はいままで私は読んだことがなかった。中山康樹をはじめとするベテラン評論家3名の座談会がヨイ。長年聴き込んでいる大人の意見は大変参考になったし、着眼レベルの高さはさすがだと思った。
また、多くのライターがページを割いている『ON THE CORNER』の謎及びその歴史的功績についての記述も興味深かった。大楽団の意図と編集作業の妙。聴けば聴くほど解らなくなり、たまにふと何かを発見した気になる。聴く人それぞれ、色々な聴き方ができる。まだ発見されていない何か不可視要素は多々あるはず。
時が過ぎて音楽の流行や社会的位置づけが変化していくにつれ、マイルス・デイビスという男の捕らえられ方も当然変わってくるだろう。もし死後20年目にまたこういう本が発売されるとしたら、どんな本になってしまうのだろうか。
それまでとにかく自らの頭脳と耳をフルに活用してマイルスを聴け!!