石橋英子×アチコ “サマードレス” リリースライブ (STAR PINE'S CAFE)
石橋英子×アチコ、待望の2ndアルバム『サマードレス』のリリースが決定し、その記念のライブ。タテタカコとともに長野、名古屋、大阪、京都と回り、今日の東京がツアーラストである。会場はかなりの人の入り。タテタカコの静謐で隙のない演奏の後に、本日の主役は登場した。
ラママやロフトほどじゃないにしろ、柱が邪魔で死にスペースの多いハコだ。正直言ってあんまり好きじゃない。聴くポジションの確保に苦労するのだ。今日はグランドピアノが持ち込まれていて、綺麗な照明の下でピカピカに黒く輝いていた。ほぼ毎月のように彼女らのライブを見ているが、今日も普段どおりにピョコンとステージに現れた。が、ピアノに向かう石橋の姿はなんというか厳かな感じがした。ライブ序盤は1stの『ロラ&ソーダ』からの曲がきた。よく伸びる(本当に文字どおり伸びまくっていたのだ!)アチコの歌声も軽快な石橋のピアノプレイも好調なようでなによりだ。やはりこういうアコースティックな音を演るための会場だとこのデュオはさらに強力になる。オーディエンスは怖いくらいに静かに聴き入っていた。‘Apartment’が久しぶりに聴けた。‘LOLA&SODA’のイントロはいつもより格段にグロテスクな音の並びでゾクッとさせられた。
中盤以降はもちろん新作からの曲が中心だ。といってももう何度もライブで演奏されているだけあって、持ち前の力を活かした磐石のパフォーマンスだった。どの曲にも共通して言えることは、1曲のなかに陰と陽、静と動、光と闇、といったコントラストが備わっていて、映画や小説のように物語性が込められていることだ。それに加えて歌とピアノだけという最少限のデュオとは思えないほどのダイナミズムがあり、歌メロの組み立て、コード進行・コードワーク、歌詞の言葉遣い、歌の隙間に割り込んでくるオブリガードなんかに非常に知恵やセンス、なにか深い深い世界観が感じられて、やっぱりまだまだこの二人はヤッテくれるなと脱帽するあまりである。
終盤の‘PINO’ではアチコがドラム(サウスポースタイルで)を叩きながら歌うという愛嬌もみせてくれた。いつもはほとんど喋らない石橋英子がMCをしたのもオドロキだ。終盤の‘サマードレス’と‘春と小石’では、アチコは低い声も器用に操って抜群の歌唱力を発揮し、感動のライブを締め括ってくれた。これまでの活動をまさに包括するような素晴らしい演奏で、ややマンネリ化しつつあった(!?)彼女らのライブに新鮮な息吹がたっぷりと吹き込まれたような気がした。終演後の大きな手応えがとても気持ち良い。
レコ発ということでアンコールもあり!ツアーを回った盟友(?)タテタカコのカバーとは粋すぎるぜ…。
■ 石橋英子×アチコ ■
1、トゥララ 2、Apartment 3、LOLA&SODA 4、マタドール 5、私のお気に入りじゃないもの
6、夜間飛行 7、ラジオを抱いて 8、PINO 9、サマードレス 10、春と小石〜encore〜
11、宝石(タテタカコ)
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