ゴキブリコンビナート 第23回公演 『いつかギトギトする日』(新小岩劇場)

作・演出・美術:Drエクアドル

作曲:Dr.エクアドル、病気マン

出演:碓井清喜、オマンサタバサ、横畠愛希子、若人あきこ、宇田川真代、病気マン、Dr.エクアドル、本間幸子
    油絵博士、亀子のぶお、植松ベーコン


まさにアングラ演劇の帝王、これ以上やってくれる劇団は他にないでしょう、悪名高き(?)ゴキブリコンビナート、恐怖の本公演のときがやってきた。タイトルは深作欣二監督の映画(JUDY AND MARY結成のきっかけとなった作品だ)のパロディだが、内容的には無関係。出演者に名俳優・古澤裕介の名がない、スピロ平太もスガ死顔もボボジョ貴族も出ない。やや薄口な感のあるラインナップだが、この劇団に限っていえば誰が出るとか出ないとかは作品の出来にあまり関係ないことかもしれない。よく晴れた土曜日のマチネ、おんぼろの会場に集った観客たちのおびえた表情が雰囲気を盛り立てる…。入場前からもうこえーよ。


作品の内容とは直接関係ないが、この劇団のスタッフさんはとてもよく教育されていて優秀だ。大人○画やナイ●ン100℃なんかよりもずーっと客に対して親切で気が利くし、よくしてくれる。入場させる係の声が大きい女性の働きぶりにはなんだか恋心を抱いてしまいそうになるぜ。汚れるし危険なコトの連続なぶん、演る側の責任感も強いのだろう。他の劇団も見習ってもらいたいものだ。


で、入場〜。いつものとおり丸太と単管が無造作に組み上げられていてゴチャゴチャしている。会場全体は浅いプールのように深さ数cm程度水が張ってあり、その1mほど上空にコの字型に通路のようなものが作られていてそこに客が座るっぽい。会場中央のいかだのようなスペースも客席で、汚れを気にしない勇気のある者が集められていた。


全員の着席を確認した後、さっそく開演。サ★エさんのパロディだ。こういうネタをネットの書き込みで見たり自分で考えたりしたことがある人も多いかもしれない、、、磯野家内の近親相姦だの児童虐待だのこの劇団らしい忌まわしき要素は序盤からタップリで、それに加えて貧困生活者や公害病患者や2ちゃんねるなんかのお得意のどうしようもない表現が織り込まれていた。あ、中国・チベット問題もあったな。
もちろん水は飛び散りまくるし、観客の間を割って役者が遠慮なく駆け回るし、高いところから簡単に飛び降りるし、怖いんだけど3Kミュージカルの迫力と臨場感は満点で、30分くらい経つと多少の服の汚れなんかどーでもいいように思えてきた(レインコート着用の場合)。
そして今回も舞台美術のアイディアがすごい!!いかだが移動して壁が倒れてきた時には拍手がおこった。こういうことでビックリさせられるのもこの劇団を観る醍醐味だ。
ストーリーはどんどんとワケのわからない方向に進んでいく。フネさんが色情魔だったり、マ☆オさんの実家がラーメン屋だったり、ワ■メちゃんが母と姉を刺した後に中国に渡ったり、トウシバ(スポンサー)の技術を駆使したロボットになっちゃったり、こりゃ最後にどういう結末になるのかなと思っていたらあっさり物語が終わっちゃったぞ(笑)。
イカレたカ▼オを演じた碓井はホンモノのキ▲ガイのようだったし、ナミ◆イを演じたオマンサタバサの珍妙さ、若人(ワ■メ)の迫真ぶり、、、奇抜な演出だけじゃなくて役者の表現力もココの魅力なのだー。冷房ナシで汗びっしょり、水に浸かってなおびっしょり、血糊ネットリの格好で真剣に演技をする役者の息づかいもミドコロだ。ただ、病気マンにいつもの覇気がなかったのが残念だな〜。


遠藤留奈の快演が光った前作ほどではないにしろ、恐怖とどうしようもなさで楽しませる手法はさすが。ハセガワさんが観たらなんと言っただろうか(笑)。。。