本谷有希子 『ほんたにちゃん』


ほんたにちゃん (本人本 3)

ほんたにちゃん (本人本 3)


hon-nin誌に連載されていた『改めて!ほんたにちゃん』に加筆&微調整をして単行本化した小説。もともとはむかしむかし劇団サイトにUPしてあったものらしい。本谷有希子の半自叙伝的処女小説である。


田舎から上京してきたアーティストを志す女の子が、専門学校の飲み会の席で大物イラストレーターと出会い、あまりにもオロカでイタいキャラを発揮して暴れまくっちゃうオハナシ。「凡人とは違う特別な人間ですオーラ」を漂わせることに躍起になるというのはサブカルを気取る若者にアリガチな行動だ。マニアックって言われたいんでしょ?


連載されているのを読んだ時はそこそこ面白かったような気もしたが、改めて読んでみるとそうでもないなー。描写はあっさりしていていままでのどの作品よりも文学臭が薄い。ライトノベルというジャンルに含めちゃっていいのかな。やっぱり幼いというか青いというか、場面展開やストーリーはなんだかご都合主義的で、フザケテ書いちゃってるのはわかるが2度読ませるほどのデキではない。
しかし、最初から最後まで未熟な部分も含めてあまりに本谷有希子的というか、これぞ本谷節であり、そのうえ彼女が専門学校時代にどういうことを考えてキャラを作っていた(作ろうとしていた)のかが分かる(??)小説なので、資料としては面白い本かもしれない。
それにしても、この人はどうしてそんなにヨソ様の目が気になるのだろうか(笑)。作風は当時から確立されていたといえばカッコイイけど、たぶんこれしか書けないんだろうな。本谷有希子(笑)。「野次マサムネ」のモデルは松尾スズキってことでおk?