村上春樹 『使いみちのない風景』


使いみちのない風景 (中公文庫)

使いみちのない風景 (中公文庫)


こんな作品があったなんてまったく知らなかったが、運命的にブックオフで出会ったので購入。稲越功一の洒落た、しかし暖かみのある写真と、村上春樹のすっきりした文章とがうまく溶け合って一冊に収まった読んでて気持ちのいい本だ。
記憶の引き出しに長いこと仕舞われっぱなしになっていた風景。何の予告もなく、ふとした時に心中に浮かび上がってくる風景。それは旅の思い出だったり、昔住んだことのある場所の懐かしい断片だったりとか・・・・。そんなものたちに対する優しい考察。なぜかもやもやしたものの角がそぎ落とされるような優しい考察だ。一緒に収録されているエッセイもいい味を出している。


そしてとにかく写真にも味わいがある。