知恵の輪 presents “人格破壊シアターvol.8”(Shibuya O-nest)


出演:知恵の輪、久土'N'茶谷(from MOST)、石橋英子+山本達久、Siamase Cats


DJ:吉田肇(from PANICSMILE


そのバンド名のとおりひん曲がってねじくれた音を出すバンド、 知恵の輪 の企画LIVE、その名も「人格破壊シアター」。今回もイカれたサウンドで聴かせる興味深い面子を揃えてくれた。そのうえDJとしてPANICSMILEの吉田肇が出席!退屈になりがちなバンドの入れ替え時に、彼はナイスな選曲で面白い曲をたくさん聴かせてくれた。いろんなロックのいろんなアーティストに造詣が深いね。


石橋英子+山本達久は2番手で登場。この二人の共演を聴くのは今日が3度目だ。今日の演奏はなんとインプロヴィゼーション100%全開、フリーフォームで完全即興のガチンコ対決を見せつけてくれた。両者が互いに探り合うように、隙を突くように、不意を突くように、ぶつかり合いせめぎ合うように、緊張感のあるプレイで感情豊かな音を出しまくっていた。もちろん先は読めないし展開は急に訪れるし、耳を休める暇などない。
石橋英子のエレピはソロの時ともバチコでのプレイともスタイル違っていて、ヨーロピアンな色合いを深く深く感じさせる、湿り気を帯びた上品で情緒溢れる演奏だった。こういうスタイルのプレイもできるのか。10本の指で鍵盤の隅から隅までを叩きまくり、ハードなアドリブを休みなく続けた。それにしても相変わらず指はよく動く。俯いて鍵盤を凝視し、熱を込めてプレイする彼女の姿には普段の穏やかさに加えてミュージシャンらしい凛々しさが備わっていた。

山本達久の破壊的でユニークなドラミングも堂々たるもの。まだ若いのにかなり上手いし、彼のプレイは引き出しが豊富で色んな魅せ方を知っているドラマーだ。アルミ製の皿のようなものをドラムのヘッドの上に並べてガチャガチャ叩いちゃうのはヴィジュアル的にも面白い。スネアの音はとても綺麗に響いていたし、アクセントのつけ方や間の取り方などにも工夫が凝らされていて玄人受けする緻密さがあった。

このライバルのようで姉弟のようにも見える不思議なデュオ、聴く機会はまたありそうだからその時が来るのを待っていたい。白熱するライブ、息詰まるバトル、聴き終えた後の気分は爽快だ。