毛皮族の社会派ピンキーバイオレンス 『遺骨のトットさん、ドブに落ちる』 〜 千秋楽! (下北沢駅前劇場)

作・演出:江本純子

出演:江本純子、柿丸美智恵、羽鳥名美子、高野ゆらこ、武田裕子、延増静美、平野由紀、高田郁恵
    細井里佳、菊地明香、中林舞(小指値)、金子清


初日の感想はこちら。



今回の公演はかなり好評なようでなにより。久々に面白かった、すげー笑った、良く出来ていた、羽鳥がウケた、高野がすごい、武田がイイ、高田が可愛いetc……と、絶賛のことばをweb上で多数見るのは自分のことのように嬉しい。で、松尾スズキ田口トモロヲも観に来ていた千秋楽だ。もちろん今日も気合十分、小劇場界を代表する人気劇団としての誇りを胸にみなさん堂々たる演技を見せてくれたように思う。記憶に深く残る本当に素晴らしい舞台だった。
もともと個性豊かで力のある素材(役者)がこれだけ揃っているのだから、あとは江本純子がそれをどう料理するかにかかっていたはずだ。その責任を今回は十分に果たしてくれた。劇団員それぞれの個性を把握しそれを活かした適材適所なキャスティングをした江本と、それにしっかり応えた出演者たちに大きな拍手を送りたい。ストーリーや演出はもちろんのこと、ダンスも、衣装も音楽(鳥羽ジャングル氏はいい仕事をしてくれた。‘ポウショョ〜〜ン♪’という曲はCD化して欲しかったな。)も隅から隅まで神経が通っていたようで実際2回観てももっと観たくなる作品だった。こんな傑作をわずか4日間・7公演しかやらないというのは本当に惜しい。
細かい点を一々書き出すといつまでも終わらないのでそれはやめておくが、江本・町田の影に隠れてスポットライトの当たらなかった団員がしっかり力をつけてきていること、江本は彼女らをしっかり育てていること(内部でいい感じの競争があるよう思える)、そしてそれぞれは努力して己の技能を高めていること、、、これらがこの公演でしっかり証明することができた。なんとも嬉しいではないか。羽鳥がイキウメやデス電所に客演したように、高野や延増にも他所の公演から声がかかることももしかしたら今後はあるかもしれない。色々場数を踏んで互いに高めあって、そして毛皮族がもっともっと素晴らしい公演を見せてくれるようになれば最高だな。細井里佳という物怖じしない小さい子はこのまま入団しちゃえば面白いのに。
生身の人間が超至近距離でハチャメチャに躍動する様にエロやバイオレンスの要素を加えてイカれまくりのスーパー・エンターテインメント、観劇後は爽快なことこの上なく立ち上がってガッツポーズをしたくなった。2回あったカーテンコール時のダンスもセクシーで、カッコよくて、可愛らしくてもうたまらん。なかでもスゲーのはやっぱり高野ゆらこだよ。圧倒されるほどの濃い存在感とこの劇団特有の何物にも替えられなさは、本当に筆舌に尽くし難い。


フライヤーには秋の次回公演の予定が記されていた。これなら期待できる。みなさんお疲れ様です!