上原ひろみ 〜Hiromi's Sonicbloom 『TIME CONTROL JAPAN TOUR 2007』<タイム・コントロール 東京公演>(東京国際フォーラム ホールA)

上原ひろみ 〜Hiromi's Sonicbloom ■<第一部>
1、TIME DIFFERENCE 2、DEEP INTO THE NIGHT 3、TIME & SPACE 4、TIME FLIES 
5、TIME CONTROL, OR CONTROLLED BY TIME<第二部>
6、TIME TRAVEL 7、NOTE FROM THE PAST 8、DOUBLE PERSONALITY 9、TIME OUT


〜encore.1〜
10、PLACE TO BE 11、RETURN OF KUNG-FU WORLD CHAMPION


〜encore.2〜
12、XYZ


4thアルバム『TIME CONTROL』に伴う凱旋帰国ツアーの最終日、有楽町の国際フォーラムだ。こんな広い会場でもチケットがSOLD OUTになるとは上原ひろみの人気も凄いものだ。今までの活動を総括するような集大成的大公演であった。序盤から涙ぐんでいた彼女の姿が脳裏に焼きついている。



基本的な内容は「12月4日・横浜公演」とほぼ同じ。渾身のピアノプレイ、メンバー4人の卓越した演奏技術、生ピアノの音を聴くには最高の会場で今日もハイレベルなパフォーマンスを見せつけてくれた。しかしこの編成だとどうも上原のピアノが不自由に感じるというか、なにか制約を受けて思い切れていないような、今日も横浜の時と同じことを思ってしまった。力強くめいいっぱい弾きまくるソロは情熱的でスリリングだが、王道とマンネリは紙一重か、全ての曲で同じようなことを続けて演られたので、私は飽きてきて正直眠くなった。このツアーに対する微妙に煮え切らない想いをなんとか払拭させてもらいたいと願いながらも、先が読めるので他の観客のようにのめり込んで熱くなるという体験ができなかったのだ。


そんなことを考えながらもう終盤。アルバムの中でもあまり好きでない(幼稚に聴こえる)曲‘TIME OUT’で、ふっとなにかが引っかった。絡み合う4つの音から生まれ出でるバンドマジック、各々のパートが戦いながらも同調し、LIVEならではの緊張感と生きたサウンドの立体感が眼前に迫ってきたように感じられた。私の中では死に掛けていた曲が命の息吹を吹き返したかのように生き生きし始めたのだ。期待していたもののほんの欠片がやっと見えたような気がした。アンコール2曲目の‘RETURN OF KUNG-FU WORLD CHAMPION’も同様。躍動する旋律、生命感を持ったシンセソロ、上原の指の力が伝わってくるような凄みに、やっとこのライブ会場に足を運んだ価値を見出すことができた。
念願のダブルアンコールはまさかの‘XYZ’。懐かしい変拍子フレーズ、HIROMI'S SONICBLOOM用にアレンジし直された名曲は最初から最後まで一瞬たりとも耳も眼も離すことのできないほどに壮絶にレベルアップしていて、私はとんでもない衝撃を受けてしまった。スゴイぞ!今まで何回も上原のバンドのLIVEを見ているが今日のこの曲の演奏が№1とはっきり言い切れる。


そんなこんなでツアーは終幕。眼を潤ませて何度も観客に礼を述べる上原。中盤までの微妙な気持ちをすっかり吹き飛ばしてくれた。やっぱりニッポンが誇る天才・ピアニスト、曲や演奏がどうこう以上の言葉にできない大きな何かをしっかり表現してライブを締め括ってくれた。こういうなんともいえない高揚感に浸るのは非常に気持ちが良いものだ。まだ興奮が収まらない。そして上原ひろみはまだまだ我々をエキサイトさせてくれる存在であることに私は大いに安心した。




日本最高!

タイム・コントロール

タイム・コントロール