流山児★ザ新劇『オッペケペ』(ベニサン・ピット)

企画:観世榮夫
作:福田善之
演出:流山児祥
出演:河原崎國太郎劇団前進座) 町田マリー毛皮族) 塩野谷正幸
    さとうこうじ 保村大和 奈佐健臣(快飛行家スミス) 沖田乱 加地竜也 伊藤弘子 
    栗原茂 上田和弘 里美和彦 他


普段こういういかにもな新劇を観る機会はなかなか無いが町田が出るという単純な動機でトライすることにした。流山児★事務所の主催・流山児祥という男は一見ヤクザ風で強面だが、始まりの挨拶やカーテンコールで低姿勢で客への感謝の気持ちを述べ、それを見ると芸術を志す普通にいい人なんだなと思った。おじさんに好印象。
時代は明治中期、明治維新の混乱から未だ抜けきれずにいる民衆はさらなる自由を求め、まもなくして始まった日清戦争を通しての心情の推移や時代特有の苦悩を描いた群像劇である。
上演時間2時間半、舞台をびっしりと埋め尽くすほどたくさんの登場人物、迫力のある歌とダンス、何から何までとにかくボリュームがたっぷりだ。暗くて後ろ向きな作風が好まれがちである昨今において見終わってスカッとするような堂々たる舞台であった。これなら私のように時代背景に疎い者にでも十分楽しめる。正直意味のわからないセリフや理解できないシーンも多少あったが当時の人々の溢れる気概が弾けるように表現されていたので満足できた。所狭しと駆け回る役者陣、舞台の奥行きや花道の使い方、限られた空間を広くみせる技術も文句ナシ。ステージセットも衣装も大劇場で演る作品のように豪華であったし、太鼓の音も気持ちよく会場内に響いていた。それになによりチームとしての力が漲るように堂々と顕れていたのが素晴らしい。普段観ている小劇場系の芝居と作風も表現方法もだいぶ違うけれども、こういうのもいざ観てみるとやっぱり勉強になるし普通に入り込めるものだね。
お目当てだった町田マリーはこの中に混じるとちょっとキャラが弱く頼りなかった。客演だといつもこんな風に思えてしまうのだが、、、、残念。一般客に混じって毛皮の羽鳥名美子が観劇に来ていた。