abstract blues(CLUB GOODMAN)


出演:タテタカコ石橋英子、北村早樹子(大阪)


なんと秋葉原グッドマンにグランドピアノを持ち込んで行われた珍しい弾き語りイベント、日曜なせいもあってかもう人がビッチリ、立ってるだけでツラい…。椅子席が大半を占めるんだったら開演前に入場すればよかったなぁなんて後から思っても遅すぎた。ハコに入った時に北村早樹子というミュージシャンが演奏していた。咽び泣くような臭〜いメロディとくら〜い歌詞、聴き手の心の傷に塩を塗るように悲痛さが伴った歌、なにか見ていけないようなものを見てしまったような微妙な後味の悪さ、いまどきこういうのを演る人は珍しい。好きだとは思わないけど、場に合わない人が出てくるよりはずっとマシ。もうちょっと曲それぞれに幅が欲しかったかな。
続いては石橋英子。意外にも、グランドピアノ一本で弾き語りライブを行うのは初めてとのこと。ピアノの発表会のようなシックな出で立ちで、なかなかかわゆい。軽く自己紹介をしてからいよいよはじまり。‘夜鷹の星’や‘Gastank’、‘Ask My Dad’、ソロアルバム『Works for Everything』からの曲を中心にメドレー形式でライブは組み立てられていたのだが、アコースティックピアノ一本で弾き語ると当然アヴァンギャルドなCD音源と雰囲気は違ってくる。ピアノ自体の鳴りが綺麗に空間に共鳴し、プレイの繊細さやタッチの強弱までダイレクトに耳に届いてきた。女性らしい柔らかさと危うさを兼ね備えたウィスパーボイスはそんなピアノによく合っていた。激しいアドリブも織り交ぜられ、適度にマニアック、しかし歌心を忘れないピアノプレイは聴きやすく、そのうえ胸に迫ってくるものがあった。
今日の収穫は吉田達也とのデュオの音源に収録されている‘Sanctuary’が聴けたことだ。力強いタッチで息詰まるような変拍子をなんなくこなすテクニックはお見事、大胆な曲展開、優しくささやくような甘い歌声がそこに綺麗に溶け込んでゆく……。石橋英子の真骨頂をこの一曲に見た。こないだバチコで演った‘光る窓に’は石橋が歌ってもやっぱり名曲!このイベントはぜひ続編を!

slip beneath the distant tree

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