劇団ダンダンブエノ 双六公演『砂利』（スパイラルホール）
本谷有希子（劇団、本谷有希子）が初めて外部に脚本を書き、それをなんと倉持裕（ペンギンプルペイルパイルズ）が演出するという小劇場界・夢のコラボレーション。で、出演するのは坂東三津五郎っていう歌舞伎の人だったり最近あんまりテレビとかで見ないけどやっぱりなぜか有名な片桐はいりだったりなんだこのごちゃまぜ多国籍軍ぶりは！表参道にあるスパイラルホールってトコに初めて入ったよ。
ストーリーに関してはやっぱり本谷有希子全開！フツーな病める人、病んでるフツーな人、頑張って生きてるんだろうけどやっぱりそれってどっか笑えちゃう！？というような相変わらずぶり。他者と自己の距離感を微妙なニュアンスで器用に抽出し人間関係の多様さとそこから見出される面白さを畳み掛けるように巧く描いている。
逆に演出は倉持っぽくなかったかな！？役者の平均年齢が高い（田中除く）ぶんだけ古臭くてダサい芝居になりそうなところを逆に開き直って突き抜けるように爽快なダサさで魅せてくれた。こういうのはPPPPではまず見られないだろうからこの手のコラボは面白いのである。謎のハコが出てきたのはこないだPPPPが演った『ワンマン・ショー』と共通するが、偶然なのだろうか。
ベテラン揃いの役者陣もそれぞれに個性がありなかなかの演技を見せてくれた。特に片桐はいりの持つ独特の存在感と空気感と味のある間の作り方は非常に巧みであったしそれが全く嫌味臭くならないというのはすごい。主演の坂東三津五郎も微妙な心中の情けない主人役をそつなく演じていたと思う。
だが一人で平均年齢を下げていた田中美里があまりに不器用で未熟だったのがこの作品の難点。もっとうまい女優がやっていたら何倍も見応えのある芝居になっただろうに。。。
斬新だとか革命的だとか飛びぬけて奥が深いという芝居ではないが、力のある人が遊び心を持ってこんなことやってみちゃいましたよ的な粋な面白さを持った、敷居の低い普通に楽しめる約2時間、いい体験だったと思う。
