tokyo pinsalocks(simokitazawa ERA)


もう何度目だろう?少なく見積もってもピンサロックスのライブを見るのはもう20回は超えていると思う。個人的に一番多くライブを見ているバンドで、愛着は強いし彼女らにはどうしても頑張ってもらいたいと強い期待を抱いている。今夜はどういうライブをみせてもらえるのか、もしも今までは味わったこともないような強い強い衝撃を受けてしまったら私はどうすればいいのだ!?下北沢駅北口、ちょっとわかりにくいところにあるERAというライブハウスに入った。
平日のわりにはなかなか人は入っていて、ちょうどtokyo pinsalocksの演奏が始まったところらしかった。バンドの明確なコンセプトのもと、今夜も可愛らしく洒落たポップチューンを連発してくれた。演奏が上手いのはもちろんのこと、アレンジの凝り様・面白み、歌詞の言葉選びのセンス等、下北沢のような街には掃いても捨ていれないほどいる凡百インディーズバンドとは大きく一線を画す有能ぶりを発揮していた。8月には再びUKツアーの予定が決まっているそうだ。
しかしどうもここ一年くらいの彼女らは伸び悩んでいるような、なにかうまくいっていないような、そんなイメージがつきまとう。以前頻繁にライブハウスで見かけた熱心なファンもいつのまにか少なくなってきている。新しいファンは増えているのだろうか。どうなのだろう。能力はあってもどうもそれが聴き手に伝わっていかないような、芯から心を振るわせるほどのエネルギーを感じ取りづらいような、そんな気がしてならない。
有無を言わさぬキラーチューンが欲しい、そう思った。かつて‘SOUND WAVE’や‘ペディキュア’がそうだったように、1曲ですごいと思わせられる強烈な武器があればもっとライブにもメリハリがつき聴き応えが増すのではないだろうか。‘Quiet’も‘プルトニウム’も‘匂いマニア’も今の彼女らの魅力が詰まったいい曲ではあるが、たまたま1回聴いたくらいでは良さが伝わりづらく、計算されたコンパクトなポップさが悪い方に作用してしまっているように思われる。単曲で一気にのめりこんでしまうほどには至らないだろう。いつのまにかロックミュージックは大衆の手垢に塗れ新しいことをやるのは相当難しいだろうが、彼女らには‘この1曲’を書く力量があるはずなのだ。
バンドの今の路線は個人的に私は大好きで全面的に肯定したいのだが、期待が大きい分だけ物足りないかなと感じることもたまにあったりする。絶対にこのままのポジションに収まって欲しくない。
今日はドラムの音がすごく良かった。バスドラの音がボフッとしてキース・ムーンみたいだった。