IRON MAIDEN『A MATTER OF LIFE AND DEATH WORLD TOUR JAPAN 2006』(日本武道館)

2006-10-25 budokan



通産14枚目にしてBritish Rock史に残る世紀の大傑作『ア・マター・オブ・ライフ・アンド・デス〜戦記』を発表したIRON MAIDENのついに、ついに来日公演の日だ!この日が来るのをずっと待っていたのだ。何日も前からずっと落ち着かなかった。前回の来日公演(『Dance Of Death』リリースに伴うMAIDENフェス)も素晴らしかったが、今回はこのモンスター・アルバムを引っ提げてのワールド・ツアーなだけに期待は倍増だ。Creative Man様、STEVE HARRIS側8列目の良席をありがとうございます!仕事をさっさと切り上げてメタラーカト氏とともに東西線に乗り九段下へ向かった。
会場外の物販ブースでTシャツとパンフレットを買った後、入場。早速オープニングアクトのLAUREN HARRISのライブが始まった。22歳、父親譲りの美形シンガー、やってることはIRON MAIDENからは程遠いが堂々たる立派なステージであった。CDがリリースされたら聴いてみたい気もする。

セットチェンジが終わり、まもなく主役の登場だ。緊張が増す。。。‘Doctor Doctor, please〜〜’哀愁を帯びたフィル・モグの声、いつものあのBritish Rockの名曲が流れ、場内は一気にヒートアップ!客電が落ち、ついにSTEVE HARRISDAVE MARRAYADRIAN SMITHJANICK GERS、4人の弦楽器隊がステージへ登場、いつの間にかドラムセットに位置したNICKO MAcBRAIN「アイィ〜〜〜!」と雄たけびをあげ‘Different World’へ、、、待望の来日公演の幕開けに相応しい名曲である。袖からBRUCE DICKINSONが飛び出し大きな身振り手振りを交えてアグレッシヴに歌いだす。ああ、本当にIRON MAIDENのライブに来たのだ、、、と、既にこの時点で心の底から実感した。目の前でBRUCEが歌っているという夢のような現実を意外に素直に受け入れることができた。

ADRIANの個性が遺憾なく発揮された曲でオーディエンスの心を瞬時に掴んだ後、ドラマチックで複雑な新譜からの曲が立て続けに披露されていった。噂どおりである。名盤『Matter of Life & Death (W/Dvd) (Dlx)』の曲順どおり、完全再現である。持ってる力のすべてを駆使し場面場面に合わせて器用に歌い上げるBRUCEはここ最近にきて益々シンガーとしての力量を上げているように思う。3人編成のギター陣のハーモニーに関してはいわずもがな。細かなビブラートの指の上げ下げまでもがピッタリ揃っている。特に目を惹いたのはADRIANだ。英国臭漂う大曲の数々は彼のギタープレイによって壮大な雰囲気がより深く、より高貴な芸術へと高められているのである。‘These Colours Don't Run’、‘Brighter Than a Thousand Suns’、‘The Longest Day’、タイプ的には同じような部類に属する曲ではあるが、CDを聴いて事前にバッチリ予習してきたせいもあり、個々の魅力をしっかり感じ取ることができた。それにしてもSTEVEのBASSプレイには頭が下がる。これを世界一と呼ばずになんと呼ぼう。彼のプレイは高速ツー・フィンガー・ピッキングのイメージが強いが、アルペジオやコードプレイ等の普通のBASSISTはあまりやらないような奏法を色々と取り入れているようである。CDを聴いているだけでは分からないこういう発見もライブの醍醐味だ。‘Reincarnation of Benjamin Breeg ’、‘For the Greater Good of God ’、静かな冒頭ではBRUCEがひっそりと歌い上げ、スピードアップして曲に火が点いてからは疾走するSTIVEのBASSとNICKOのドラミングが曲を引っ張る。BASSの弦がフレットにバシバシ当たる音は最高に心地よく、曲展開にマッチした要所要所でのタム回しにはMAIDEN独特のシックリさがある。3人のギタリストがそれぞれに色を沿え、7分を超える大曲がクライマックスへと向かう…。あのアルバムの出来栄えをも遥かに凌ぐ素晴らしいパフォーマンスだ。

アルバムどおりに10曲を終えた後は過去に残した伝統的名曲が登場する番だ。IRON MAIDENのドラマチック路線のはしりともいえる‘Fear of the Dark ’はライブアルバム『Rock In Rio』の名演に勝るとも劣らない素晴らしい演奏であったし、本編ラストの‘IRON MAIDEN’ではついに逢いたかったあの人が登場。。。EDDIE〜!BASSソロが終わるとステージが暗転し、再びライトが点いたときには巨大な戦車がステージ上を支配していた。双眼鏡を覗く姿の巨大なEDDIEがハッチから出てきて客席を睥睨する。すごい!素晴らしい!逢いたかったぜ、EDDIE THE HEAD!なかなか味わうことのできない興奮に戸惑いながら、あっという間に本編が終了した。ああ、IRON MAIDENのライブなのだ。

アンコールは定番の中期の代表曲‘2 Minutes to Midnight’で幕を開けた。そして次にきたのはどうしても聴きたかった、前回の来日時には聴けなかったMAIDEN史上最強の名曲、、、‘The Evil that Men Do’!。静かなイントロの後の、BASSの疾走感がたまらない。Bメロ部分の歌とギターの絡みは生で聴くと本当に感動的だ。しかも中盤で身長3mほどもある長身のEDDIEがステージに現れ、コミカルにもJANICKと絡み合っていた。これもMAIDENのライブの見所の一つだ。きてよかった…。ラストは『THE MUNBER OF THE BEAST』からのこれも大曲、刑執行寸前の死刑囚の心境を歌った‘Hallowed Be Thy Name’。夢を見ているかのような内容充分のパフォーマンスはこの感慨深い曲で見事に締めくくられた。。。
さあ、土曜日に国際フォーラムでもう一回だ!

■ IRON MAIDEN ■

01. Different World 02. These Colours Don't Run 03. Brighter Than a Thousand Suns 04. Pilgrim
05. The Longest Day 06. Out of the Shadows 07. Reincarnation of Benjamin Breeg
08. For the Greater Good of God  09. Lord of Light 10. The Legacy 11. Fear of the Dark
12. Iron Maiden

〜encore〜
13. 2 Minutes to Midnight 14. The Evil that Men Do 15. Hallowed Be Thy Name


Matter of Life & Death (W/Dvd) (Dlx)

Matter of Life & Death (W/Dvd) (Dlx)