ゴキブリコンビナート第21回公演『アンドロゲンレインボー』(中野光座)


すげえ〜っス!下流を描いて12年!いま小劇場界で話題沸騰中の3Kミュージカル劇団、ゴキブリコンビナートを観にいってきた。会場は昔々ピンク映画館として使われていたらしいオバケ屋敷のようにボロボロの中野光座。会場に入っただけですでに怪しさ満点、こんなハコでどんなSHOWを見せてもらえるのか、そして自分はどんな目に遭うのか、期待と不安で胸がドキドキだ。服が汚れても責任は負わない、上演中はトイレに行けない、開演を待つあいだ主催側が繰り返し告知していた。なんなんだろう?不安が増していく。開場後すぐに上手後方の席を選んでそこに座った。上を見ると、天井がやたら低い???そうではなくて、天井の数十センチ下に客席いっぱいのだだっぴろい「」が張り巡らされている。その板には直径30〜40センチほどの「」がが多数開いている。なんだろう?陰鬱な雰囲気の劇場内の中空の不可解さに疑問を抱きながら開演を待った。そして、予定より5分ほど押して、ついに開演!
とにかく常識はずれのアバンギャルドさが話題にのぼるこのゴキブリコンビナート、実際みてみると様々な面でしっかりとよくできている劇であった。場面設定やストーリー展開はしっかり計算されていた。わけのわからないシーンも最後に腑に落ちるようにできていて感心してしまった。皇室に関するアブないネタと医学や宗教の要素が織り交ざる脚本は非常に面白かった。アブノーマルなセックスだとか、本物の猫の登場だとか笑える小ネタも多く観客を飽きさせないように細部まで練りこまれていた。
こういうように色々な技法が用いられて非常にインパクトの強い面白い舞台だったわけだが、今作の一番の特徴は舞台・客席の床から天井まで、空間をいっぱいいっぱいに使ったセットによる演出だった。中空の「」は開演まもなくして観客の体まで下降して、なんと客はモグラ叩きのように「」から頭だけを出す格好で終演まで(2時間弱)観る羽目になった。「穴」に自分の頭が通ったときの恐怖感は何物にも代えられない独特なものだ…。隣席の若い女性の首しか見えない姿は滑稽だった。その「板」の上を縦横無尽に役者たちが駆け回る…。自分の顔のすぐ前を人が走ってゆくのだ。そのほかにも天井から太い枝が吊るされていてそこにぶら下がって演技していたり、中央の花道で醤油やコーラをジャージャー垂れ流したりと、観ていて怖さやドキドキさや不安と面白さがミックスした気分が味わえた。観る者は怖いけどなぜか徐々にそれが心地よくなっていく、少なくとも私はそうなった。不思議な不思議なSHOWだ。
凄まじい評判以上の凄まじい芸術性を見せてくれた。ありがとう!ゴキブリコンビナート





ゴキブリコンビナートhttp://www.geocities.jp/goki_con/
オメスブログ:ttp://blog.livedoor.jp/omess1299/
中野光座:ttp://www.lasens.com/gekijopic/hikariza-img/hikariza-pic.htm